大型血管炎に対する治療薬として「希少疾病用医薬品」に指定
中外製薬株式会社は8月25日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ(R)皮下注162mgシリンジ、同オートインジェクター」(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))に関して、既存治療で効果不十分な高安動脈炎と巨細胞性動脈炎に対する効能・効果追加の承認を厚生労働省から取得したと発表した。
高安動脈炎と巨細胞性動脈炎からなる大型血管炎は、血管の炎症により動脈狭窄、動脈瘤などが発現し、病変部位によっては脳梗塞、弁閉鎖不全症、腎機能低下などの重篤な臓器障害をきたす。高安動脈炎と巨細胞性動脈炎は、ともに国の難病に指定されており、国内の患者数は7,000人ほどと推定されている。アクテムラは大型血管炎に対する治療薬として2014年6月に厚生労働省から「希少疾病用医薬品」の指定を受けた。
キャッスルマン病、関節リウマチなどへの効能・効果を有するアクテムラ
アクテムラは、2005年に希少疾病であるキャッスルマン病への治療薬として承認を取得。2008年4月には、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)および多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎の効能が追加されている。
今回の承認は、高安動脈炎の患者を対象とした国内第3相臨床試験「MRA632JP試験」、および巨細胞性動脈炎の患者を対象としてロシュ社主導のもと実施された海外第3相臨床試験「WA28119:GiACTA試験」の成績に基づいたもの。なお、GiACTA試験の成績は、2017年7月27日付けで「The New England Journal of Medicine」電子版に掲載されている。
▼関連リンク
・中外製薬株式会社 ニュースリリース