日本新薬との共同開発
中外製薬株式会社と日本新薬株式会社は8月23日、CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫を対象として両社が共同開発している、糖鎖改変型タイプ2抗CD20モノクローナル抗体「オビヌツズマブ」について、中外製薬が厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。
オビヌツズマブは、非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様に、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質CD20に結合する糖鎖改変型タイプ2抗CD20モノクローナル抗体。標的となるB細胞を、直接かつ体内の免疫系とともに攻撃して破壊する。
リツキシマブ群に対して、病勢進行・再発・死亡のリスクを34%有意に減少
今回の申請は、ロシュ社が実施し国内からも参加した国際共同第3相臨床試験「GALLIUM試験」などの成績に基づくもの。同試験では、未治療のCD20陽性進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫患者1,401名を対象に、リツキシマブと化学療法を併用した導入療法後にリツキシマブの維持療法を継続した群(リツキシマブ群)に対する、オビヌツズマブと化学療法を併用した導入療法後にオビヌツズマブの維持療法を継続した群(オビヌツズマブ群)の有効性と安全性を比較した。主要評価項目は、主治医評価による濾胞性リンパ腫患者(1,202名)における、無増悪生存期間。副次的評価項目は、独立評価委員会判定による無増悪生存期間、全生存期間、安全性等だった。
同試験の結果、オビヌツズマブ群はリツキシマブ群と比較して、濾胞性リンパ腫患者における病勢進行・再発・死亡のリスクを34%、統計学的に有意に減少させた(ハザード比:0.66(95%信頼区間:0.51-0.85)、P=0.0012(層別Log-rank検定)、データカットオフ日:2016年1月31日)が、無増悪生存期間の中央値は未達だった。
副次的評価項目は、独立評価委員会判定による無増悪生存期間の中央値は未達だったが、病勢進行・再発・死亡のリスクは29%減少したという(ハザード比:0.71(95%信頼区間:0.54-0.93)、P=0.0138(層別Log-rank検定)、データカットオフ日:2016年1月31日)。全生存期間は、両群ともイベント数が少なく中央値は未達。GALLIUM試験において両群で発現した有害事象は、これまでに報告されたものと同様だったという。オビヌツズマブ群でリツキシマブ群に比べ5%以上高く認められたGrade3以上の有害事象は、好中球減少だった(43.9%対37.9%)。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース