ガイドラインの改定案では、臨床試験の第I相試験について、単回投与試験の投与量は非臨床試験における動物での薬物動態、対象と推定される菌種の被験薬感受性、PK/PDを踏まえ、予想される臨床最大用量を超える用量の忍容性を確認することを推奨した。
また、反復投与試験では予想される臨床推奨用量・臨床最大用量を用いた場合の被験薬の血中濃度測定、有害事象の発現状況、臨床検査値の観察に加えて、腸内細菌叢への影響が大きいと考えられる被験薬ではその影響も検討することが望ましいとし、投与期間については被験薬や対象疾患の特性などを考慮しつつ、血中濃度の定常状態が推定できる期間が望ましいとした。
第II相試験については、既に海外で臨床試験成績が得られており、第I相試験における日本人と外国人の薬物動態データに類似性があり、対象菌種の薬剤感受性分布が同様と推測される場合、日本人の用法・用量を設定する臨床試験の省略を考慮できるとしつつ、その場合は第III相試験で日本人の薬物動態を検討し、適切な用法・用量を求めることとした。
第III相試験について、適応疾患領域を限定して臨床開発を行う場合、各領域で患者数の多い代表的疾患を選択し、対照薬に対する非劣性または優越性の検証を主目的としたランダム化二重盲検並行群間比較試験の実施を基本と位置づけた。比較試験の目標症例数については、統計学的な観点から仮説を検証するために適切かつ被験薬の安全性も評価できる患者数を設定することとしている。
注射剤から経口剤への切り替え療法(スイッチ療法)を開発する場合は、有効性と安全性評価を目的とした臨床試験の実施を考慮するよう求めている。
さらに、妊婦、授乳婦、低出生体重児、新生児、乳児、小児、高齢者、肝障害や腎障害のある患者など、特殊集団の被験者における試験について、妊婦では妊娠時の使用を主な目的としない臨床試験からは除外されるべきとし、被験薬の投与中に妊娠が判明した場合は直ちに投与を中止すべきとした。その場合は妊娠と胎児の追跡評価を行うことを求めている。
腎機能低下、肝機能低下のある患者では、主に腎排泄される被験薬について、腎機能障害の程度や透析が薬物動態に及ぼす影響を明らかにする必要があると指摘。また、特に肝臓の酸化により代謝される被験薬や代謝物が薬理活性を持つ場合は、被験薬の代謝について肝機能低下のある被験者で薬物動態を検討することが望ましいとした。