医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 褐色脂肪組織の新規制御因子「NFIA」を同定-東大病院

褐色脂肪組織の新規制御因子「NFIA」を同定-東大病院

読了時間:約 1分16秒
2017年08月22日 PM01:10

熱産生を介してエネルギーを消費する褐色脂肪組織

東京大学医学部附属病院は8月15日、肥満症の治療標的として期待される「」の新規制御因子「Nuclear factor I-A」()を同定したと発表した。この研究は、同大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科の門脇孝教授らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学雑誌「Nature Cell Biology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

肥満症とそれに起因するメタボリックシンドロームや肥満2型糖尿病は、、腎疾患や悪性腫瘍のリスクを高める。近年の研究で、エネルギーの貯蔵を担う「」以外に、熱産生を介してエネルギーを消費する「褐色脂肪組織」がヒト成人にも存在することがわかり、褐色脂肪組織の数や働きを高めることが肥満症の新しい治療法につながり得ると期待されている。

ヒト成人の褐色脂肪組織でもNFIA遺伝子が高発現

研究グループは、褐色脂肪組織に特異的なDNA上のオープンクロマチン領域の解析から、褐色脂肪組織の新規の主要制御因子として、NFIAを同定。NFIA欠損マウスでは褐色脂肪の遺伝子プログラムが著しく障害されていた一方、NFIAを導入した場合には、筋芽細胞や白色脂肪細胞においても褐色脂肪の遺伝子プログラムが活性化されたことがわかった。さらに、ヒト成人の褐色脂肪組織でも白色脂肪組織と比較してNFIA遺伝子が高発現していたという。

この研究結果は、NFIAの働きを高めることで「エネルギー摂取の抑制」ではなく「エネルギー消費の促進」に基づく肥満症、、肥満2型糖尿病の新しい治療につながる可能性を示唆している。研究グループは今後、NFIAの発現を欠損させたり、増やしたりしたマウスにおける体重や脂質、血糖値等を解析して肥満症、、肥満2型糖尿病の発症への影響について研究を進める予定。また、NFIAの発現を制御する上流因子についても探索を進めていくという。

 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 排卵誘発剤「クロミフェン」、安価で迅速な新規合成法を開発-近大ほか
  • 急性期脳梗塞患者、脳のミエリン量が多いほど予後が良好と判明-広島大
  • 妊娠期の感染症/発達期の社会的ストレスがもたらす精神疾患の仕組みを解明-京都大
  • 僧帽弁逆流症に合併する重症三尖弁逆流症の特徴と予後の実態を調査-順大ほか
  • 化膿性脊椎炎、「後方固定術」による脊椎安定化が感染制御に寄与する可能性-筑波大
  • あなたは医療関係者ですか?

    いいえはい