添付文書上、併用禁忌と記載のある薬剤を併用した事例は9件。具体的に見ると、免疫抑制剤の「イムラン錠」を内服している患者の尿酸値が高くなり、医師は高尿酸血症治療薬の「フェブリク錠」を新たに処方しようとオーダリング画面に入力したところ併用禁忌のアラートが表示された。「フェブリク錠」を処方するためにはコメントの入力が必要なことから、医師はコメントに「継続」と入力して処方した。
保険薬局からの疑義照会はなく、患者は「イムラン錠」と「フェブリク錠」の内服を開始したところ、2カ月後に患者にめまい、ふらつき等の症状が出現。ヘモグロビンが6.8g/dLに低下しており、「イムラン錠」と「フェブリク錠」の併用による骨髄抑制であることが判明した。
また、別の事例では、静脈血栓がある患者に循環器内科医が抗凝固薬の「ワーファリン錠3mg」を処方。同錠を開始した2日後、口腔内カンジダ症のため、皮膚科医が口腔カンジダ症治療薬「フロリードゲル経口用」を処方した。
薬剤マスタの最終更新は添付文書が改訂され、併用禁忌になった月の前月であったため、処方時にアラートは表示されず、薬剤部からの疑義照会もなかったことから、患者は「フロリードゲル経口用」の使用2日目にPT-INRが測定不能となり、ヘモグロビンは4.3g/dLに低下。内視鏡検査で胃噴門部からの出血を認めたというもの。
こうした事例が発生した医療機関に対し、同機構は添付文書が改訂され、新たに併用禁忌となった薬剤の情報を得た場合、薬剤師は各診療科に情報を周知するよう求めると共に、マスタ更新を速やかに行いアラートを表示するよう注意喚起した。
さらに、薬剤の保管棚には「併用禁忌あり」と表示して注意喚起すると共に、薬剤師に対して併用禁忌薬が処方された場合に疑義照会を行うよう促した。