医学教育の効率化や難手術の効果的訓練のために
名古屋大学は8月7日、眼科手技を模擬した眼科手術シミュレータを開発したと発表した。この研究は、同大学大学院工学研究科の新井史人教授らと、東京大学の研究グループとの共同で行われた。
画像はリリースより
近年、医学教育の効率化や難手術の効果的訓練のために、精巧な手術シミュレータが強く求められている。しかし、実際の人間の眼球や頭部の可動性を十分忠実に再現したものは存在していない。また、一部の網膜硝子体手術は難手術だと言われているが、適切な模擬眼球が開発されておらず、術者の手技評価を行うためのセンサシステムも開発されていない。
手術評価用のセンサ機能も搭載
今回開発されたシミュレータは、2つの網膜硝子体手術(内境界膜剝離術、マイクロカニュレーション手術)が可能な眼球モデルの構築・搭載に成功。また、評価システムの構築にも成功したという。現在市販されている眼科手術シミュレータには、手術評価用のセンサ機能は一切搭載されていなかったが、同シミュレータでは、眼底網膜部に変形表示機能を搭載。これにより、鉗子や針の過剰な押込みを検知することが可能になったという。
同シミュレータの開発により、従来では行うことのできなかった手技の模擬と評価を行うと共に、一連の手術トレーニングを行うことが可能になったという。また、これまでは網膜硝子体手術において、失明する可能性を懸念して熟練医が執刀することが多く、若手医師が習熟する機会が乏しいとされてきたが、今後は同シミュレータが難手術における若手医師の早期習熟に貢献することを期待する、と研究グループは述べている。
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・名古屋大学 プレスリリース