FLT3変異によって白血病細胞が異常増殖し、予後不良に
富士フイルム株式会社は8月8日、米国において、再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)の患者を対象とした、抗がん剤「FF-10101」の臨床第1相試験を開始したと発表した。
AML患者の約3割には、造血幹細胞の増殖に関与するタンパク質「FLT3」に遺伝子内縦列重複(ITD)変異あるいはチロシンキナーゼドメイン(TKD)変異が認められており、それらFLT3変異によって白血病細胞が異常増殖し、予後の悪さに繋がると考えられている。そのため、FLT3変異の働きを阻害することで白血病細胞の増殖を抑制するFLT3阻害剤が注目されている。
マウス実験では、白血病細胞を大幅に減少させる
FF-10101は、同社が創製したFLT3阻害剤。FLT3に含まれるアミノ酸と不可逆的に結合して、その働きを阻害し、白血病細胞の異常増殖を抑制する。細胞実験では、FF-10101が、他のFLT3阻害剤に耐性を示すTKD変異が発現している白血病細胞の増殖に対して、強力な阻害作用を示したという。さらに、白血病の患者細胞を用いたマウス実験でも、ITD変異やTKD変異を持つ白血病細胞を大幅に減少させ高い効果を発揮したという。
AMLは、血液がんの一種で、血球を作る造血幹細胞ががん化し、そのがん化した造血幹細胞が骨髄中で増殖して十分な量の血球を作ることができなくなるとともに、増殖した白血病細胞が骨髄外の組織に入り込んで障害を引き起こす難治性疾患。5年生存率約30%ほど。現在、AMLの新規患者数は、米国で年間約2万人と推定されている。
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・富士フイルム株式会社 ニュースリリース