同社が発表した内容は、同社社員およびその親族の処方箋の取り扱いについて、実際に調剤を行った同社薬局が保険請求すべきところ、当該処方箋を同社の別の薬局に送付し、当該処方箋を受け取った薬局で調剤を行ったものとして保険請求をした事実が、同社内の自主点検の結果、確認されたというもの。
また、自主点検の結果に関しては「行政機関に対し報告を行ってきている」とし、行政機関としかるべき協議を行い、今回の事案に関する必要な対処を進めているとした。関係社員の社内処分については、「速やかに実施する」としている。
さらに発表では、「このような不適切な事案を二度と繰り返すことのないよう徹底した再発防止策を策定すると共に、今後、当該再発防止策を継続的に実施・徹底していく」との考えを強調。具体的には、[1]役職員のコンプライアンス意識醸成のための啓もう・教育の強化と徹底[2]同社薬局店舗に対する内部監査室による定期監査の強化と徹底[3]内部通報制度の一層の浸透――を図っていく考えを示した。
■NPhA「社会的責任の自覚を」-JACDS「駄目なものは駄目」
今回の件に関して、日本保険薬局協会(NPhA)は4日にコメントを発表。「今年4月にも会員企業による同様の事例が発生しており、重なる不祥事について、国民の皆様ならびに関係各位に、謹んで深くお詫び申し上げる」とした。その上で、「今般の事例を深刻に受け止め、会員企業に対し、法令遵守について今一度通達すると共に、国民皆保険制度の一翼を担う企業としての社会的責任と、自覚を持った企業活動を行うよう啓発していく」としている。
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の宗像守事務総長は、4日の定例会見でこの件に言及。「姑息だ」とした上で、「駄目なものは駄目だ」と批判した。ただ、「行政処分となると、薬剤師の処分や店舗の業務停止とかいう形で、本部に及ばない」とも述べ、「確実にアウトならば、行政処分のみならず刑事告発して、しっかり白黒をつけた方がいいだろうと思う」と指摘した。
■自ら倫理を放棄する行為-日本薬剤師会
アイセイ薬局が4日に公表した付け替え請求問題を受け、日本薬剤師会(山本信夫会長)は同日、「保険調剤に係る不正請求事案について」とする見解を公表。「保険調剤に対する信頼を失うだけでなく、医療提供施設である薬局および医療の担い手である薬剤師に求められる医療人としての倫理を自ら放棄する行為と言わざるを得ない」と非難した。
調剤薬局大手のクオール薬局が、処方箋の付け替えにより、不正に調剤報酬を得ようとしていたとされる問題を念頭に、「今年4月にも同様の事案が発覚し、医療保険制度のもとで保険調剤を担う者としての倫理観が問われる中、一部の薬局における行為とはいえ、またしても類似の不祥事が発生したことは誠に遺憾」と強調。
全国の薬剤師を束ねる職能団体の代表として、「国民・患者の方々に衷心よりお詫び申し上げる」とすると共に、「一度失われた信頼を取り戻すべく、全ての薬剤師が改めて社会に対して果たすべき責任を思い起こし、真摯に取り組んでいかなければならないことと痛感している」とした。