全て献血に依存する輸血医療
株式会社メガカリオンは8月7日、iPS細胞を用いた同社独自の血小板産生技術ならびに日本企業保有の周辺要素技術を結集し、ヒトiPS細胞由来血小板製剤について臨床試験用製剤の製法を確立したと発表した。
画像はリリースより
血小板をはじめとする血液製剤による輸血医療は、最も基本的な治療手段、医療インフラのひとつだが、その製造に要する輸血用血液は全て献血に依存している。中でも献血血小板製剤は、日本では有効期間が採血後4日間と定められていることから、医療現場では需給調整に細心の注意を強いられている。
また、頻回の血小板輸血を受けた患者の中には、血小板上のHLA抗原の存在によってHLA抗体が産生され、輸血効果が認められなくなることがある。このような患者には、HLA型を適合させた「HLA適合血小板」が必要となるが、親子や兄弟の間でも一致する確率は低く、非血縁間では数百から数万分の1の確率でしか一致しないといわれている。ヒトiPS細胞由来の血小板製剤は、このような需給問題ならびにHLA適合血小板の確保という課題を一元的に解決できる手段として、早期の実用化が望まれているという。
日本企業と連携し、2020年の製造販売承認取得を目指す
メガカリオンは、ヒトiPS細胞から自己複製および凍結保存が可能な不死化巨核球前駆細胞(MKCL)を誘導し、MKCLから大量かつ安定的に血小板を産生させる基盤技術を有している。しかし、血小板製剤の製造には同社保有のMKCLを起点とし、(1)大量培養による血小板の産生と機能・品質の確保(2)血小板の分離精製・保存(3)各種分析・試験といった要素技術の組み合わせと最適化が必須となる。そこで、これら要素技術を有する日本企業((1)佐竹化学機械工業株式会社・日産化学工業株式会社(2)株式会社大塚製薬工場・川澄化学工業株式会社・株式会社京都製作所(3)シスメックス株式会社・シミックグループ)と共同研究、業務委託等の連携、コンソーシアムを形成し、臨床試験に用いる為の血小板製剤の製法を確立したという。
同社は、オープンイノベーションによるインフラ構築という事業化コンセプトの下、日本の技術を結集し、ヒトiPS細胞由来血小板製剤について、国内にて速やかに臨床試験を実施し再生医療等製品の早期承認制度を利用することで、2020年の製造販売承認取得を目指すという。
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・株式会社メガカリオン ニュースリリース