医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 頻脈性不整脈へのアブレーション治療で、衝撃波を用いた新規治療法を開発-東北大

頻脈性不整脈へのアブレーション治療で、衝撃波を用いた新規治療法を開発-東北大

読了時間:約 1分4秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年08月07日 PM01:00

熱を用いる高周波アブレーション法にはさまざまな課題が

東北大学は8月3日、頻拍性不整脈に対するアブレーション治療の分野において、衝撃波を用いた治療法を開発し、動物実験でその有効性・安全性を報告したと発表した。この研究は、同大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授の研究グループによるもの。研究成果は、ヨーロッパ心臓学会(European Society of Cardiology, ESC)の学会誌「EP Europace 誌」(電子版)に掲載されている。


画像はリリースより

現在、頻脈性不整脈に対しては、高周波カテーテルを用いて心筋の不整脈の発生源となる部分を焼き切る「高周波アブレーション法」が主流。しかし、熱を発生する高周波通電を用いるため、深達度の限界、心内膜損傷に伴う血栓塞栓症、炎症治癒反応の遷延化による再発という問題があった。

血栓塞栓症の原因となりうる心臓の内側部分の損傷が軽いなどの効果

以前より、下川教授の研究グループは、熱を用いないより安全な方法として、高周波の代替に衝撃波を用いたアブレーション治療の研究開発に取り組んできた。そして今回、改良を重ねた、「改良版衝撃波アブレーション法」において、動物実験による安全性を実証したという。

改良版衝撃波アブレーション法は、従来の高周波アブレーション法よりも深い場所まで効果が到達し、さらに深さの調節も可能。さらに、血栓塞栓症の原因となりうる心臓の内側部分の損傷が極めて軽く、その損傷部位では炎症が早く治まり、不整脈が再発する危険性が大幅に低下するという。改良版衝撃波アブレーション法は、今後の不整脈治療でより有効で安全な選択肢となることが期待される、と研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 血液中アンフィレグリンが心房細動の機能的バイオマーカーとなる可能性-神戸大ほか
  • 腎臓の過剰ろ過、加齢を考慮して判断する新たな数式を定義-大阪公立大
  • 超希少難治性疾患のHGPS、核膜修復の遅延をロナファルニブが改善-科学大ほか
  • 運動後の起立性低血圧、水分摂取で軽減の可能性-杏林大
  • ALS、オリゴデンドロサイト異常がマウスの運動障害を惹起-名大