■社会保障、持続可能な制度に-2025年問題見据え取り組む
第3次安倍第3次改造内閣が3日に発足し、厚生労働大臣に、一億総活躍担当大臣を務めていた加藤勝信氏が就任した。加藤厚労相は同日の初登庁後、記者団に対し、厚生労働行政について、「国民一人ひとりの生活、様々なライフステージに生涯にわたって関連していく」との認識を示した上で、「重い責務であり、全力で取り組んでいきたい」と抱負を語った。
加藤厚労相は、安倍晋三首相から、持続可能な社会保障制度の構築や、安心につながる社会保障の構築などに取り組むよう指示を受けたことを明らかにした上で、社会保障給付費について、「年々、増加している」と指摘。
団塊の世代が2025年頃までに75歳以上の後期高齢者となることで医療・介護費などの急増が懸念される“2025年問題”に言及し、「25年を見据えながら、必要なサービスをしっかり確保するための取り組みと同時に、それらをいかに効果的・効率的に進めていくかを通じて、持続可能な制度をしっかり作り上げていき、次の世代にもしっかりと引き継いでいく必要がある」「そのためには不断の見直しをしていく」と強調し、「充実すべきものもあれば、効率化を図る部分もある」との認識を示した。
18年度は、診療報酬と介護報酬の同時改定に加え、障害福祉サービス等報酬の改定も予定されている。「トリプル改定という大変、重要な時期」になるため、「先行きを見据えながら、必要なものは充実化し、効率化が図れる部分は効率化していく」との考えを示した。
また、今回のトリプル改定は、「医療と介護を一体的に見ていくための良い機会」との認識を示した。
障害者福祉サービスに関しても、障害者が地域で生活していく上で必要な「サービスの質向上を図りながら、制度の持続可能性をしっかり維持していくための検討が必要」と語った。
4日に省内で行った閣議後の会見では、高齢化に伴う社会保障費の伸びを、16~18年度までの3年間で1兆5000億円以内に抑える目標が掲げられている政府の「骨太の方針」について、「これまで通りしっかり取り組んでいきたい」と強調。
3日の初登庁に先立って行われた首相官邸での会見では、20年の東京オリンピック・パラリンピック大会開催に向けて、「受動喫煙対策を徹底するための取り組みを進めていく」とし、「必要な法案の国会提出に向けて、スピード感を持って対応していきたい」と語った。
加藤勝信氏(衆)=1955年生まれの61歳。旧大蔵省出身。03年の衆院選で初当選し、当選5回。自民党厚生労働部会長、自民党副幹事長、内閣官房内閣人事局長などを歴任した。