■患者登録とバスケット試験
国立がん研究センター中央病院は7月31日、希少がんのゲノム医療と新薬開発を産学共同で進める世界初のプロジェクト「MASTER KEY」を開始したと発表した。希少がん患者を登録して遺伝子情報を把握するレジストリ研究を進めると共に、特定のバイオマーカーを持つ患者集団を対象に実施する“バスケット試験”と呼ばれる新たな手法を駆使し、希少がん治療薬の開発につなげる。プロジェクトは製薬企業11社が参加し、今年度中には京都大学病院でも開始する予定。年100例以上の登録を予定している。
希少がんは、厚生労働省の検討会で罹患率人口10万人に6例未満とされ、標準治療も存在しないアンメットメディカルニーズが高い疾患と位置づけられているが、患者数が少ないため診療データが蓄積されておらず、臨床試験の実施が難しい課題があった。そのため、これまで多くの製薬企業は希少がんの抗癌剤開発を積極的に行ってこなかった。