EGFR T790M変異陽性進行NSCLCでは承認済み
英アストラゼネカは7月27日、現在の標準的な治療との比較で、タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)が治療歴のない上皮成長因子受容体変異陽性(EGFRm)、局所進行あるいは進行転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とする第3相FLAURA試験において、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な無増悪生存期間(PFS)の改善を示したことを発表した。
現在、既承認のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブあるいはエルロチニブによる治療を受けているNSCLC患者の約半分において、二次変異であるT790Mにより薬剤耐性が発生する。また、EGFR変異陽性NSCLC患者の約25%は、診断時に脳転移を有しており、診断後2年以内にその率は約40%に増加することから、より高い中枢神経系の有効性を持つ薬剤に対するニーズが存在する。
第3世代不可逆的EGFR阻害剤のタグリッソは、EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を阻害し、中枢神経系(CNS)転移に対する臨床活性を発揮するよう設計されている。タグリッソ40mg錠および80mg錠の1日1回経口投与は、EGFR T790M変異陽性進行NSCLCの治療薬として、米国、EU、日本、中国を含む50以上の国で承認済み。また、術後補助療法、脳転移を有するもしくは有さない患者を含む転移に対するファーストライン治療、軟髄膜転移、ならびに他の治療薬との併用療法においても現在検討中だ。
ゲフィチニブ・エルロチニブと比較検討
FLAURA試験は、局所進行あるいは転移EGFR変異陽性NSCLC患者を対象とし、タグリッソ80mg1日1回投与の有効性および安全性をファーストライン標準治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブ(250mg 1日1回経口投与)あるいはエルロチニブ(150mg 1日1回経口投与))と比較検討した試験。二重盲検無作為化試験であり、対象は30か国556例の患者。主要評価項目はPFS、副次的評価項目はOS(全生存期間)、ORR(客観的奏効率)、DoR(奏効期間)、DCR(病勢コントロール率)、安全性および健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)の測定値が含まれた。
その結果、タグリッソの統計学的に有意かつ臨床的に有意義なPFSの改善を確認。これをもって、アストラゼネカは同データおよび薬事申請に関して世界各国の規制当局と協議を開始するという。なお、FLAURA試験データの詳細解析は現在実施中であり、さらなる結果は今後の医学学会において発表するとしている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース