数万人以上の乳酸菌飲料・発酵乳摂取状況を調査
東北大学東北メディカル・メガバンク機構と株式会社ヤクルト本社は7月28日、乳酸菌摂取による保健効果を明らかにすることを目的とした共同研究を実施すると発表した。同研究は、東北メディカル・メガバンク機構が実施するコホート調査の参加者を対象に、乳酸菌飲料・発酵乳の摂取状況についてアンケート調査を行うもの。数万人以上の規模の疫学研究で相関を解明する。
画像はリリースより
アンケート調査は2017年8月1日から開始予定。同研究は、2021年3月まで行われる予定で、得られたデータは、東北メディカル・メガバンク計画のバイオバンクに格納され、データ整理完了後、一定の解析期間を経て、全国の研究者に分譲され、個別化医療・個別化予防の研究に有効活用される予定だ。
遺伝情報やオミックス情報などを含めた総合的な解析も
これまで、乳酸菌摂取による保健効果は、特定の疾患に絞った介入試験によってのみ検証されてきており、乳酸菌を長期間摂取した健常人の健康全般におよぼす解析は十分ではなかった。東北メディカル・メガバンク計画で、大規模コホート調査の参加者全員に実施しているアンケートでは、食事をはじめとしたさまざまな生活習慣の調査が行なわれており、その中には乳酸菌飲料・発酵乳の摂取状況の調査も含まれている。しかし、乳酸菌の生理効果は摂取する乳酸菌の性質によって異なる可能性があるため、乳酸菌の効果を詳しく検証するためには乳酸菌の種類を含めた保健効果の解析が必要だった。
今回の共同研究の対象は、コホート調査の詳細二次調査の成人参加者(最大約9万人)。乳酸菌に関する詳細な調査項目を追加することで、大規模に乳酸菌摂取に関する情報を収集し、コホート調査で収集されている健康情報等と統合して解析して、乳酸菌摂取の保健効果を明らかにすることを目的としている。さらに、遺伝情報やオミックス情報などを含めた総合的な解析を行うことにより、東北メディカル・メガバンク計画が目指す「個別化予防」の基盤構築にも貢献するとしている。
同研究によって、現在明らかになっている乳酸菌の保健効果に対する科学的エビデンスが強化されるとともに、これまで明らかにされていなかった疾病や、生理機能低下におよぼす未知の作用が見出されることが期待される、と研究グループは述べている。
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