宮本氏は、就任に当たって「2011年から約1年間、旧医薬食品局の総務課長を経験した当時と比べると、医薬品に対する国民の意識も高まり、医薬品行政を取り巻く環境は大きく変わっている中で、まだ様々な問題がある」との認識を示した上で、「問題を解決するためには、まず実態の把握を丁寧に行い、何が論点でそれに対してわれわれが何をすべきなのか、国民目線に立って地に足のついた政策を進めていくことが重要」と抱負を語った。
厚労省が推進するかかりつけ薬剤師・薬局については、電子版お薬手帳への対応など、都道府県ごとの薬局の取り組みをホームページで検索できる薬局機能情報提供制度の項目を拡充する「見える化」により、「かかりつけ薬剤師・薬局の機能の現状を把握し、今後の施策に生かしていけるような仕組みを作ることが重要」との意向を示した。
一方で、「地域包括ケアシステムの中で住民を支えるため、多職種の専門家がお互いに連携を取りながら対応してもらうことが重要」と強調。「薬剤師は何と言っても薬の専門家。その立場から、薬の服用や有効性・安全性などの様々な情報提供を行う役割を発揮し、多職種の中で活躍してもらいたい」とエールを送った。そのために、厚労省内でも老健局や保険局との連携強化に努力していく考えを示した。地域の健康や薬の相談窓口となる健康サポート薬局については、「地域の核になって薬局の機能強化を進めるリーダー的な立場になってもらいたい」と述べた。
特に、地域住民を支える多職種のうち「福祉関係者に薬剤師の機能が知られていないのではないか」と問題提起。「医療関係、福祉関係の多様な職種に薬剤師の専門性の高さ、これから進めようとしているかかりつけ機能、健康サポート機能というプラスアルファのサービスを認識してもらうことが必要。せっかく6年制を出た高度な人材がいるのに、多職種の関係者に薬剤師の機能が周知されなければ、かかりつけ薬剤師・薬局、健康サポート薬局も前に進んでいかない気がする」と所感を述べた。
さらに、将来的に到来する人口減少社会にも言及。「人口が減少し、高齢者が増えていくことは、社会の担い手が少なくなるということ。そうした時代に、専門性を持った薬剤師は待ち構えているのではなく、前に出て行ってもらわなければ社会が成り立たなくなる」と危機感を表明。薬剤師に対して、「日本の将来を見据えた形で、地域における活躍を強く期待したい」と訴えた。