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イノベーションとインテグリティを軸に国内No.1に-ノバルティス社長

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2017年07月27日 PM12:00

会見冒頭ではディオバン裁判についての反省も

ノバルティスファーマ株式会社の綱場一成社長は7月24日、社長就任から3か月を機に都内で記者会見し、降圧薬ディオバン事件をきっかけとした信頼失墜に同社として継続的に取り組んでいく意向を示すとともに、innovation(革新)とintegrity(誠実さ)の「2つのI」を軸に国内製薬業界でNo.1企業を目指す決意を表明した。また、製品価値最大化と効率的な組織運用の観点から、これまで5つに分かれていた疾患別領域事業部を8月1日から4事業部に再編することを明らかにした。


ノバルティスファーマ 綱場一成代表取締役社長

会見冒頭、綱場社長は3月に一審判決で無罪となった降圧薬ディオバンをめぐる薬機法違反事件に関連し、「裁判でデータ改ざんの事実認定がされたことは、私どもが臨床研究に適切に関わってこなかったことが原因。深く反省するとともに、引き続き重く責任を捉えて活動を続けていきたい」と述べた。

綱場社長の前職は、米イーライリリーのオーストラリア・ニュージーランド法人の社長。日本イーライリリーでは、営業所長、プロダクトマネジャー経験もある。綱場社長は、「今後とも日本で企業風土の改善に取り組んでいき、信頼性のある会社として評価していただくためには、日本人のリーダーが必要とノバルティス・バーゼル本社が考えたのだと受け止めている」と説明した。

ディオバン事件直後に発覚したがん治療薬での副作用報告遅延に関する事案で、厚生労働省から受けた業務停止命令に関連し、前任のダーク・コッシャ社長時代に業務停止開始日をリフレクション・デイと定め、コンプライアンスや安全性に関する全社的な振り返りを行ってきたことを説明。「しかし、そうした活動は一朝一夕に根付くものではない」と述べ、今後も企業風土改善に継続的に取り組んでいくと強調した。

現在ディオバン事件に関しては東京地検が控訴をし、年内にも控訴審が始まる見込み。一審では会社側が否定してきたデータ改ざんが事実認定されており、控訴審での同社の主張が注目されている。これについて綱場社長は「現在まだ進行中のことであり、控訴審で当社がどのようなスタンスを取るかについては現時点で私がコメントすることは適切ではない」と述べるにとどまった。

8月に大幅な組織改編の意図は営業資源の最適化

8月1日から行われる事業部の組織改編は、プライマリーケア事業部とスペシャリティケア事業部を新設し、従来の中枢神経、アルコンファーマと合わせ4事業部とする計画。プライマリーケア事業部は、オンコロジー事業本部のうち呼吸器事業部を発展的に解消し、呼吸器事業部内のCOPDを循環器・代謝事業部と統合。プライマリーケア事業部は、呼吸器事業部内の喘息を移植・皮膚・免疫に統合したもの。プライマリーケア事業部には同社の売上高筆頭の糖尿病治療薬エクアとその配合剤エクメットがあり、スペシャリティケア事業部にはグローバル重点製品の乾癬治療薬(ヒト型抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤)コセンティクスが柱となっている。綱場社長は「これまでこの2製品以外の情報提供活動が十分だったかは疑問の余地がある」と述べ、高齢者慢性疾患でもあるCOPDを同じように慢性疾患である糖尿病領域と併せてプライマリーケア事業に、生物学的製剤である喘息治療薬のゾレアをスペシャリティケア事業に位置づけ、上記2製品で培った営業資源と併せることで「さらにカバー率を上げることができるのではないか」との意図を説明した。そのうえで同社のMR数については、「今後新製品の上市が数多く見込まれているため縮小の予定はない。疾患によっては増員ということも考えられる」との見解を示した。

同社では、現在がん領域で新たな免疫治療法として知られるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法の生物学的製剤CTL019を開発中だ。同療法は患者から取り出したT細胞に標的とするがん細胞を認識する遺伝子を挿入し、患者の体内に戻すという治療法。CTL019は「小児および若年成人の再発・難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病」を適応に米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が満場一致で、7月に承認を勧告したばかりだ。現在、日本でも小児の急性リンパ芽球性白血病とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象にフェーズ2が進行中である。この件に関連して、同席した同社取締役の廣瀬徹開発本部長は「現在、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議をしながら治験を進めているが、承認申請時期も条件付き承認を求めるかなども現時点では未定」と述べた。(村上和巳)

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