承認に関する最終決定は欧州委員会より近く下される予定
スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュ社は7月25日、欧州医薬品委員会(CHMP)より、特定タイプの転移性非小細胞肺がん、ふたつのタイプの転移性尿路上皮がん患者への「TECENTRIQ」(一般名:atezolizumab)の投与について、承認勧告を受領したと発表した。承認に関する最終決定は、今回のCHMPによる承認勧告の肯定的見解を元に、欧州委員会より近く下される予定。
局所進行または転移性非小細胞肺がんの適応
今回受領したのは、化学療法施行の治療歴がある成人の局所進行、または転移性非小細胞肺がんに対する、TECENTRIQ単剤療法での使用についての承認勧告。EGFRもしくはALK遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者は、同剤での治療を受ける前に、これら特定の遺伝子をターゲットとした医薬品による治療も受けていることが必要となる。この承認勧告は、大規模ランダム化第3相臨床試験の「OAK試験」、ランダム化第2相臨床試験の「POPLAR試験」の結果に基づくもの。
また、白金製剤ベースの化学療法による治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な成人の局所進行または転移性尿路上皮がんに対しても、単剤療法での同剤の使用について承認勧告を受領。この承認勧告は、ランダム化第3相臨床試験の「IMvigor211試験」、シングルアームの第2相臨床試験の「IMvigor210試験」のコホート1(cisplatinベースの化学療法が不適格な患者群)、2(白金製剤ベースの化学療法による治療歴がある患者群)の結果に基づいている。
TECENTRIQは、国内では、非小細胞肺がん対象の第2相、第3相国際共同治験、非小細胞肺がんの術後補助療法、小細胞肺がん・尿路上皮がん・筋層浸潤尿路上皮がんの術後補助療法、乳がん・腎細胞がん・腎細胞がんの術後補助療法、卵巣がん・去勢抵抗性前立腺がん対象の第3相国際共同治験に参加している。また、肝がん・固形がん対象の第1相臨床試験を実施中。2017年2月には、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対し、製造販売承認申請を行っている。
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