最終報告書は、昨年に設置したMID-NETの利活用ルールと経費を検討するワーキンググループの結論をそれぞれ反映させたもの。MID-NETは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営し、行政機関、製薬企業、研究者などが利活用することを想定。目的、内容、期間などを有識者会議で事前に審査し、認められたものだけが利活用できることとした。
また、個人情報保護の観点から、PMDAと協力医療機関は電子診療情報の利用目的を公表するとし、患者が自身の情報が利用されることを拒否できる機会を設けるよう求めたほか、提供された情報がどのように利用・公表されるのかを丁寧に説明すべきとした。
データを蓄積したデータセンターにアクセスできる「オンサイトセンター」はPMDAに設置し、利活用者の本人確認、監視カメラによる監視が行われるなど、厳重なセキュリティ管理を実施する。個人単位のデータである分析用データセットはセンターの外部に持ち出せないが、統計処理を行った情報に限り、外部へ持ち出せる。
原則として、利活用の結果も公表し、個人が特定されることがないように留意することとした。
ルール違反、データ紛失、漏えいなどに対しては、利活用の一時停止とオンサイトセンターへのアクセス権限を一時的に停止する処置を取る。その上で、改善計画の策定の要求、解析したデータの削除、利活用の停止、氏名および所属の公開を行うこととした。
MID-NETの利用料については、システムの維持や運用、改修の経費積み立てなど安定稼働時の年間経費が12億3355万円かかると算出した上で、製販後調査は1品目4212万3000円(税込み)に設定した。製販後調査以外の調査で、分析用データセットを利用する場合は1調査2106万1500円(同)、分析用データセットを利用しない場合は1082万円(同)とした。
データを提供した協力医療機関に所属する研究者などがMID-NETを利活用する場合は、システム構築に貢献したことを考慮し、利用料を減額する。また、利活用者が自ら解析を行うため、18年度からの本格稼働前に、薬剤疫学解析や情報管理などの知識・技術が習得できる研修会を実施すべきとした。
さらに、MID-NETの運用開始後、協力医療機関の拡大や運営コスト削減の努力などで経費が変動することも想定されるとし、MID-NET運営の透明性を確保するため収支報告を公表し、必要に応じて利用料の見直しを行うべきとした。