厚生労働省は、1回の調製でバイアルに残った抗癌剤の保険請求方法について、複数回投与した場合は使用量単位で保険請求することを求める通知を近く発出する。これまでバイアルに残った抗癌剤を廃棄してもバイアル本数単位で保険請求している医療機関が多かったが、保険請求の取り扱いを明確化し、残薬分を過剰に請求している現状を是正したい考え。18日、自民党行政改革推進本部の「医療費見直しチーム」の会合で明らかにした。
抗癌剤などの注射剤に関する保険請求の方法は統一されていないのが現状で、日本病院薬剤師会の調査結果によると、複数患者に1バイアル使った場合、バイアル単位で請求している病院は18%に上った一方、使用量で請求している病院は3%、使用した分だけ請求している医療機関は5%に過ぎなかった。
こうした現状を踏まえ、厚労省は、抗癌剤の保険請求方法について、安全性を確保した上で一つのバイアルを複数患者に使用した場合、使用量で請求することを明確化する通知を発出する方針だ。1人の患者に対しバイアル単位で請求できないようにするが、やむを得ず残薬を廃棄する場合に限り、残薬分を含め請求できる除外規定も明記する。
また、厚労省は抗癌剤の残薬を削減するため、今年度中に多角的な調査研究を実施する。細菌汚染など安全性確保に必要な条件や実際に残った抗癌剤を活用した場合の廃棄率減少、残薬活用時の医療過誤への影響、小規格包装の開発、複数回使用できる製剤の開発などを検討する。なるべくバイアルに抗癌剤を残さないようにすることが医療機関にとって利益になるインセンティブを18年度から導入することも検討する。