■多職種で服薬情報共有を
厚生労働省の検討会は14日、高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)対策などの医薬品適正使用に向けた中間取りまとめ案を概ね了承した。薬剤師などが参照可能な内服薬の多剤服用に関する適正使用ガイドラインを策定する必要性を明記したほか、処方情報や服薬アドヒアランスの状況などを多職種間で共有する仕組み作りを提言した。ガイドラインの作成に向けては、必要な情報などを集中的に検討するワーキンググループを立ち上げ、今夏をメドに初会合を開く予定。
中間取りまとめ案では、高齢者の薬物療法に関する現状について、服用薬の種類は75歳以上でより多い傾向があり、ポリファーマシーの患者に複数の医療機関を受診する傾向などを指摘。特に6剤以上の併用により、薬剤関連の有害事象の頻度が高くなる傾向にあることなどを示した。
これらを踏まえ、高齢者の薬物動態を考慮した投与量の調整、多剤併用時の薬物相互作用による副作用を防止するため、医師、薬剤師などの医薬関係者がそれぞれの立場で参照できる医薬品の適正使用情報を充実すべきとし、高齢者の内服薬の多剤服用に関する適正使用ガイドラインを策定する必要があるとした。
ガイドラインの策定に当たっては、経口血糖降下薬、高血圧治療薬や抗血小板薬などの循環器用薬、認知症治療薬、重複処方が懸念される睡眠導入剤や抗不安薬、抗菌薬など、特に検討が必要な薬効群を考慮すべきとし、様々な患者がいる医療現場に応じた対応を行うため、急性期、回復期、入院、外来、在宅など各医療現場の特徴に合わせて薬剤数調整や処方変更などの考え方を整理する必要性を明記した。
その上で、高齢者が服用する医薬品の適正使用を促すためには、多職種間で情報を共有する仕組み作りが必要と指摘。共有する情報に薬剤管理の方法や転倒など患者の状況、処方情報や服薬アドヒアランスの状況などを挙げた。
さらに、電子版お薬手帳を活用した処方・調剤情報の一元的、継続的な把握など多職種を含めた情報共有を支援する仕組み作りに加え、医療機関や薬局の機能に応じて保険者と連携し、多剤服用情報をフィードバックするなど適正化の取り組みを進めていく情報共有の方向性を示した。
多職種が連携して安全対策に取り組むためには、看護師も含め高齢者の薬物療法を理解する人材の育成や確保を課題に挙げ、医薬関係者には薬を減らすことの意義などを患者や家族に分かりやすく情報提供するよう努めることを求めた。
同検討会では、ガイドラインの内容を集中的に検討していくワーキンググループを設置することを決め、今夏にも初会合を開催する予定だ。