ヒトの遺伝子機能の総合的なカタログ作成を目指すIMPC
理化学研究所は7月11日、国際マウス表現型解析コンソーシアム(IMPC)が3,328個の遺伝子をそれぞれノックアウトしたマウスから疾患モデルやこれまで不明だった遺伝子の機能を発見したと発表した。IMPCには、同研究所バイオリソースセンターの小幡裕一センター長らの研究グループが参加。研究成果は、英科学雑誌「Nature Genetics」オンライン版に掲載された。
画像はリリースより
IMPCは、米国国立衛生研究所らが構成する、11の国と地域の18研究施設による国際共同開発プロジェクト。IMPCでは、それぞれノックアウトマウスを作製し、その生物学的特徴(表現型)を国際標準解析プロトコールに沿って解析し、遺伝子機能のカタログ作成を進めている。最終目標は、ヒトの遺伝子機能の総合的なカタログを作成することで、2011年より10年をかけて、標準的実験マウス系統C57BL/6Nの全遺伝子の機能を解明する予定だという。2016年9月には、400を超える胎生致死遺伝子を特定し、それらとヒト疾患遺伝子との関連性を明らかにしていた。
これまで不明だった1,092の遺伝子の機能の解明も
今回、IMPCは、3,328遺伝子のノックアウトマウス系統の表現型とヒト疾患の臨床的特徴との間の類似性を分析。その結果、360遺伝子のノックアウトマウス系統が既知の遺伝性希少疾患のモデルマウスとなること、135系統が新たなメンデル遺伝病モデル候補となること、さらに、これまで不明だった1,092の遺伝子の機能を解明したという。
IMPCで作製・解析されたノックアウトマウスは、理研バイオリソースセンターなど世界各国の中核バイオリソースセンターから、国際標準疾患研究用リソースとして、世界中に提供されている。また、IMPCで得られたデータは、IMPCポータルサイトで公開されている。今回の研究結果は、遺伝性希少疾患の発症に関わる原因遺伝子の特定や疾患モデルを用いた治療法の開発に役立つものとして期待されると、研究グループは述べている。
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