■広がる大学間格差、2極化も
日本私立薬科大学協会がまとめた2017年度の私立薬科大学(薬学部)入学志願者調査の結果、入学志願者数は10万0604人と前年度に比べて4461人少なく、3年連続で減少した。志願者数が増え続けていた薬学人気がピークを越え、一転して減少傾向が続いている。募集数に対する入試倍率は、8.8倍と前年度より低下したものの、依然高い水準を維持。ただ、入試倍率は1倍台から30倍台まで大きな開きがあり、人気大学の2極化が進んでいることがうかがえた(表参照)
調査は、私立薬大協加盟の57校(徳島文理大香川を含む)を対象に実施されたもの。今年度の定員は1万1397人と前年度の1万1309人から88人と若干増加。6年制学科は1万0692人、4年制学科は705人となった。また、募集数は一般が7277人、推薦が3953人となり、昨年度に比べて一般と推薦共に募集数は若干減少し、合計でも1万1230人と昨年度より減少した。
志願者数は、一般8万6247人(前年度9万0367人)、推薦1万4357人(1万4698人)、合計で10万0604人と昨年度から4461人減少した。志願者数は、15年度から減少に転じていたが、その傾向が続いており、過熱した薬学人気の反動から落ち着きを見せつつあるようだ。
志願者数は減少に転じたものの、募集数に対する入試倍率は全体で8.8倍と昨年度より低下したが、依然として競争率は高い。6年制の一般は11.8倍(12.3倍)、推薦は3.7倍(3.8倍)、4年制は一般が12.0倍、推薦が2.6倍と、いずれも一般入試では10倍を超えている。
入学志願者数は、全体で4000人以上減少したものの、大学ごとの志願者数と倍率には大きな開きが見られ、入試倍率が平均の8.2倍を超えた人気のある大学は25校となった一方、平均倍率を大きく下回り、倍率が3倍に満たなかった大学は14校に増え、2倍を切った大学も6校あり、大学間格差が広がってきていることがうかがえた。
最も倍率が高く狭き門となったのは、近畿大で34.1倍(35.0倍)、次いで摂南大が26.6倍(22.4倍)、武蔵野大が23.0倍(28.7倍)となった。前年度に比べると倍率は下がっているが、摂南大は倍率がさらに上がって一層狭き門となった。高倍率の上位校を見ると、神戸学院大17.3倍(18.7倍)、東京理科大16.8倍(15.5倍)、星薬科大14.8倍(15.2倍)、立命館大14.5倍(14.1倍)と続いており、前年並みとなった星薬科大以外は人気が上昇している。
また、10倍以上と競争率が高かった大学は、福岡大13.7倍(14.0倍)、崇城大と慶應義塾大が12.5倍(14.7倍、13.8倍)、帝京平成大12.2倍(12.5倍)、神戸薬科大12.1倍(11.7倍)、東邦大11.9倍(9.8倍)、明治薬科大11.8倍(14.6倍)などで、高い人気を集めていた。
倍率は4年制と6年制を区別せず、総定員数と総志願者数から割り出した。