細胞応答を増強する4-1BB共刺激ドメインを使用するCTL019
スイス・ノバルティス社は6月23日、CTL019(tisagenlecleucel)の投与を受けた再発・難治性(r/r)B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および若年成人患者において、6か月後においても寛解率が維持されていたというELIANA試験の最新結果を発表した。この試験結果は、6月24日の欧州血液学会議(EHA)の年次集会で発表された。
ペンシルべニア大学で開発されたCTL019は、細胞応答を増強するために4-1BB共刺激ドメインを使用している。ノバルティス社と同大は2012年に、CTL019を含むがんの治験に向けてCAR-T細胞医療の研究・開発を進め、商品化するために国際的な協力関係を結んでいる。
ELIANA試験は、米国、カナダ、EU、オーストラリアおよび日本の25の治験実施施設で被験者の登録が行われている、小児患者を対象にしたCAR-T細胞医療に関する初めての申請を目的とした国際共同治験。この単群、非盲検、多施設第2相試験には、初回治療不応、初回再発後の化学療法不応、二次療法後の再発性または同種幹細胞移植(SCT)に不適格な、3歳から23歳の患者が参加した。
患者の83%がCR、または血球数回復が不十分なCRを達成
発表されたデータでは、患者の83%(63名中52名;95%信頼区間[CI]:71-91%)が、輸注の3か月以内に完全寛解(CR)または血球数回復が不十分なCRを達成。奏効例においては、6か月後の無再発率が75%(95%CI、57-87%;奏効期間の中央値へは到達せず)、12か月後が64%(95%CI、42-79%)であることも示された。さらに、生存率は6か月後が89%(95%CI, 77-94%)、12か月後が79%(95%CI、63-89%)。輸注からデータカットオフまでの期間の中央値は8.8か月だった。
CTL019は、今年初め、r/r B細胞性ALLの小児および若年成人患者に対し、FDAから優先審査対象とすることが承認された。ノバルティスは2017年後半に欧州医薬品庁(EMA)に申請を行う予定。この治験治療は2016年にEMAから優先審査薬の指定を受けており、FDAは2回以上治療を行った後に疾患が増悪したr/r DLBCLの成人患者にとっての画期的治療薬に、CTL019を指定している。
▼関連リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース