人工知能(AI)が活躍する時代で薬剤師業務はどうなるか――8日に都内で開かれた第20回日本医薬品情報学会学術大会では、AI時代における医薬品情報と薬剤師のあり方が議論された。「第3次ブーム」にあると言われるAIは、ビッグデータを活用した深層学習(ディープラーニング)の手法が注目を集めているが、こうしたAIの活用が視野に入る中で薬剤師は、膨大な情報を整理して生きたデータにしていくこと、より薬学的ケアへの注力が求められるとの声が上がった。単純な調剤業務だけではAIに取って代わられるとの指摘もあった。
基調講演を行った木村通男氏(浜松医科大学病院医療情報部)は、現在のAIブームについて1960年代、80~90年代に続く第3次ブームと指摘。その特徴はビッグデータを用いたディープラーニングで、評価の定まった大量のデータが存在する分野が得意と説明した。その上で、薬剤師の調剤業務に言及。「正しい薬を正確な量で患者に渡すだけであれば、AI以前にインターネットの通販サイトのアマゾンに取って代わられるだろう」と警告。薬局のカウンターで患者を観察したり、家族から話を聞いて「きちんと薬を飲んでいますか」と質問しているかどうか問題意識を投げかけた。