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次世代がんワクチン、人工アジュバントベクター細胞の医師主導治験開始-東大

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2017年07月10日 PM01:00

再発または治療抵抗性急性骨髄性白血病を対象に

東京大学は7月6日、次世代がんワクチンである人工アジュバントベクター細胞「」について、再発または治療抵抗性急性骨髄性白血病を対象とした医師主導治験を開始すると発表した。


画像はリリースより

エーベックは、自然免疫リンパ球であるナチュラルキラー細胞()の活性化をトリガーとして生体内の樹状細胞の成熟化を促すことで自然免疫と獲得免疫の両者を賦活化できるワクチンシステム。エーベックとは、T細胞の標的となるがん抗原と、NKT細胞を活性化する糖脂質(α-GalCer;アルファ-ガラクトシルセラミド)を付着させるタンパク質「CD1d」を持つ任意の細胞に、糖脂質を付着して作られる細胞の総称である。

CD1dを介してエーベックに付着した糖脂質がNKT細胞を活性化させるが、エーベック自体は体内で破壊されて樹状細胞に取り込まれる。この一連の反応によって体の中の樹状細胞の働きを最大限に強化され、ワクチンとして機能する。単回投与で自然免疫と獲得免疫、さらには1年以上にわたって持続する記憶免疫を誘導。薬効を維持させつつ、放射線照射した他家細胞を用いることで誰にでも使用できるという特徴をもつ。

他のがん抗原を発現したaAVCの開発も可能

今回の医師主導治験は、再発または治療抵抗性急性骨髄性白血病を対象として、白血病に高率に発現するWT1抗原に着目して開発したaAVC-WT1の第1相試験。WT1抗原を発現しているがん腫全般に対して有効性を示すデータが得られているため、将来的には対象疾患の拡大を図ることが期待でき、またaAVCはワクチンシステムであるため、他のがん抗原を発現したaAVCの開発も可能だという。

東京大学医科学研究所および附属病院は、基礎研究を臨床応用へと橋渡しするトランスレーショナルリサーチを推進しており、理化学研究所によるエーベックの開発支援を行ってきたことから、同附属病院において医師主導型治験を実施することが決定。治験は、同大医科学研究所附属病院血液腫瘍内科の東條有伸教授らが行う。

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