先端巨大症および下垂体性巨人症治療剤に適応追加
帝人ファーマ株式会社は7月3日、フランスのイプセン社から導入している先端巨大症および下垂体性巨人症治療剤「ソマチュリン(R)皮下注120mg」(一般名:ランレオチド酢酸塩)について、厚生労働省より「膵・消化管神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine Tumor :NET)」の効能・効果の追加承認を取得したと発表した。
今回の追加承認の取得は、イプセン社が欧州14か国で実施した、切除不能、または遠隔転移を有する膵・消化管NETを対象に、ランレオチド酢酸塩の有効性・安全性を検証した、プラセボ対照の「CLARINET(R)」試験、および帝人ファーマが日本で実施した2013年以降の第2相臨床試験の結果に基づくもの。2016年7月に効能・効果の追加申請を実施していた。
膵NETを適応症にもつ日本初のソマトスタチンアナログ製剤に
NETは、ホルモンを分泌する神経内分泌細胞から発生する悪性腫瘍。膵臓や小腸・直腸などの消化管に発生するNETには、ホルモンの過剰分泌を促すタイプもあり、低血糖や消化性潰瘍、重度の下痢などの症状を引き起こすことがある。日本人が1年間に新規発症する割合は、人口10万人あたりで膵NETが約1.3人、消化管NETが約3.5人。いずれも比較的稀少な疾患だが、患者数が年々増加傾向にあることから、その治療意義が高まっている。
膵・消化管NETの治療としては、腫瘍切除が第一選択とされているが、手術が困難な場合や、手術後に腫瘍が残った場合には薬物治療が必要となる。身体症状が見られる膵・消化管NETの薬物治療としては、ソマトスタチンアナログ製剤が第一選択とされている。しかし、日本国内には、抗腫瘍効果で膵NETに使用可能なソマトスタチンアナログ製剤はこれまでなく、消化管NETには1剤があるのみだった。今回、ソマチュリンが膵・消化管NETに対する効能・効果の追加承認を取得したことで、同剤は、日本で初めての膵NETを適応症に持つソマトスタチンアナログ製剤となる。
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