生ワクチンとは異なる遺伝子組み換え型のワクチン
英グラクソ・スミスクラインplcは6月21日、50歳以上の成人を対象としたherpes zoster(帯状疱疹)の予防ワクチン候補の「Shingrix(HZ/su)」を、現在利用可能な弱毒化帯状疱疹生ワクチン(ZVL)の接種歴のある高齢者に接種した場合に、強い免疫反応を引き起こすことを示した「Zoster-048試験」の結果を発表した。この試験結果は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)および予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)の会議で発表された。
Shingrixは、遺伝子組み換え型のワクチンで、帯状疱疹およびその合併症の予防が可能。これは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)上に存在するタンパク質の糖タンパクEと、抗原に対する免疫反応を高めることを目的としたアジュバントシステムAS01Bとを組み合わせたものだという。日本では、2017年4月に規制当局に承認申請を行った。現在、同剤の使用が承認されている国はない。
別のP3試験では、4年間の追跡期間全体で持続的な有効性示す
Zoster-048試験は、65歳以上の成人430例のうち、少なくとも5年前に帯状疱疹に対するZVLを接種したことのある者と、接種したことのない者を対象とした、前向き、群対応、非無作為化、非盲検、多施設共同試験。Shingrixの安全性、局所反応、全身反応、免疫原性を評価した。
試験の結果、抗体濃度などの免疫反応の非劣性を示すこととした主要目的を達成。Shingrixのワクチン接種から遡って、少なくとも5年前にZVLを接種した者と、ZVLを接種していない者とでは、同等な免疫反応がみられたという。また、2回目のワクチン接種から最長で1か月後までの評価では、いずれの試験群でもShingrixの忍容性は良好だった。
さらに、別に実施した2つの第3相試験「ZOE-50」および「ZOE-70」では、Shingrixは年齢(50歳以上、70歳以上、80歳以上)とは無関係に、帯状疱疹に対して90%を超える有効性を示し、4年間の追跡期間全体を通じて持続的な有効性を示したという。
現在、固形がん・血液がん患者、造血幹細胞移植・腎移植レシピエントを対象とした追加試験が進行中。これらの試験では、免疫機能の低下による帯状疱疹の高リスク集団を対象とした、Shingrixの安全性および免疫反応を惹起する効果に関する追加情報が得られることになっている。
▼関連リンク
・グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース