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【日病薬学術第一小委員会】処方提案が多剤削減に効果-全国調査で病院薬剤師の関与示す

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2017年07月07日 PM01:30

入院した多剤投薬症例のうち退院時に薬剤数が減っていた症例では、減少しなかった症例に比べて、入院直後や入院期間中の病院薬剤師の処方提案実施率が高いことが、日本病院薬剤師会学術第一小委員会の調査で明らかになった。全国80病院から400以上の多剤投薬症例を網羅的に収集し、薬剤師の関与を分析した。薬剤師の業務が薬剤削減につながっていることを間接的に示唆する結果となった。

この調査は、多剤投薬患者の実態や処方内容、薬剤師の関与を全国規模で明らかにすることによって、薬剤師による効果的な多剤投薬回避方法を探索するもの。

「多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の業務実態調査」として、2015年度から3年間の計画で実施している。このほど鹿児島市で開かれた医療薬学フォーラムで解析結果の第1報を発表した。

学術第一小委員会は、16年3月1日から31日までに退院した患者のうち、▽65歳以上▽入院時に6剤以上の内服薬を服用している▽入院時に持参薬鑑別を実施した▽入院中に薬学的管理に関与した――などの条件を満たした多剤投薬症例を、全国の病院から網羅的に収集。調査に応じた80施設から414例の報告があり、このうち有効回答の406例を対象に解析した。

入院中に持参薬を1剤以上削減した症例を削減群、それ以外の症例を非削減群に分類した。薬剤削減群(239例)は入院時に平均10.2剤を服用していたが、退院時には平均8.4剤に減少。非削減群(167例)は入院時に平均9.4剤を服用しており、退院時には平均9.7剤になっていた。

それぞれの群に対する病院薬剤師の業務実態を調べたところ、入院直後の持参薬鑑別時などに、薬剤師が減量や中止などの処方提案を実施している割合は、非削減群では15.4%だったのに対し、薬剤削減群では49.1%と高かった。医師と治療方針や処方内容の検討や相談を実施している割合も、非削減群では40.1%だったのに対し、薬剤削減群では63.0%と上回っていた。

また、入院期間中の薬剤師の業務内容を比較したところ、薬剤削減群では、有効性や副作用、検査値などを確認して処方提案を実施している割合が、非削減群に比べて高かった。

これらの結果から学術第一小委員会は「入院時や入院期間中における有効性、安全性、必要性の確認に基づく処方提案は、多剤投薬患者の薬剤削減には効果的」としている。

また、病床機能区分別に薬剤削減状況を調べたところ、全体に占める薬剤削減群の割合は、54.2%、74.4%、慢性期病床77.1%だった。学術第一小委員会は「どの病期においても入院中は薬剤見直しの好機であり、特に回復期や慢性期では効果的であると示唆された」と報告した。

ただ、他医療機関や保険薬局に対する薬剤情報提供書として「薬剤管理サマリー」を記載している割合は、非削減群の19.3%に対し、薬剤削減群では30.3%と上回っていたものの、いずれも低かった。その実施率向上が今後の課題と指摘している。

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