厚生労働省は、来年4月から医薬品の製造販売後調査及び試験の基準に関する省令(GPSP省令)を改正する方針だ。製造販売後調査に必要な資料の収集や作成に国の医療情報データベース(MID-NET)を活用できるようにすると共に、複数の医薬品情報を比較評価する製販後調査により、申請資料を作成できることを明確化する。現行の製造販売後調査は、製薬企業のMRが医療機関を訪問して調査票を集めているため、膨大な費用がかかっていることが問題となっていたが、省令改正によって製販後調査の効率化を目指す。改正省令は10月に公布し、2018年度から施行する予定である。
6月29日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で方針を明らかにした。GPSP省令では、医薬品の製販後に使用成績調査、特定使用成績調査、製販後臨床試験の結果などを再審査資料とすることを義務づけているが、製販後調査・試験を行うためには製薬企業が医療機関と個別に契約を結ぶ必要があるため、複数の医療機関のレセプトや電子カルテなどの情報を蓄積させたデータベースを活用した資料の収集・作成は想定されていなかったのが現状。
これまで製販後調査をめぐっては、医療機関への謝礼やデータマネジメント費用、MRと内部スタッフの人件費など、多額の費用がかかることが問題視されており、日本の製薬会社が製販後調査に投じる費用が年間約1000億円に達する独自の試算が製薬業界からも示され、膨大な資金が投じられている実態が明らかになっていた。
こうした背景に加え、国の医療情報データベース「MID-NET」が来年度から本格稼働する予定であることも踏まえ、厚労省はGPSP省令を改正し、製販後調査にMID-NETや民間の商用データベース、アカデミア主導のデータベースを活用した申請資料の収集・作成ができるようにする。
また、複数の医薬品情報を比較評価する製販後調査に基づき、申請資料を収集・作成することもできるようにする。
今後、改正省令について8月中旬からパブリックコメントを募り、10月をメドに公布し、18年度から改正省令を施行する考えである。