1日1回経口投与の選択的JAK1およびJAK2阻害剤
日本イーライリリー株式会社は7月3日、選択的JAK1/JAK2阻害剤「オルミエント(R)錠4mg、同2mg」(一般名:バリシチニブ)について、厚生労働省より「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応症として製造販売承認を取得したことを発表した。
オルミエントは、1日1回経口投与の選択的JAK1およびJAK2阻害剤。JAK酵素としては、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類が知られている。JAK依存性サイトカインは多くの炎症性、自己免疫疾患の病因と関連していることから、JAK阻害剤は関節リウマチを含む広範囲の炎症状態を示す疾患の治療に有益である可能性が示唆されている。オルミエントについては現在、炎症性疾患、自己免疫疾患を対象とした臨床試験が行われている。
疾患活動性・関節破壊の抑制でアダリムマブと同様の効果示す
今回の承認は、日本人371名を含むさまざまな治療歴のあるリウマチ患者2,890名を対象とした、完了済みの4つの試験を含む第3相臨床試験に基づくもの。RA-BEAM試験では、メトトレキサート使用下でのオルミエントとアダリムマブ(TNF阻害剤)との比較を事前に規定し、実施。オルミエントは、現在の標準療法であるメトトレキサートによる治療に対して効果不十分であった患者に対し、疾患活動性および関節破壊の抑制効果について、アダリムマブと同様の効果を示すと共に、痛みや倦怠感、朝のこわばりなどの主観的症状を評価するPRO(患者報告アウトカム)についても、投与1週時から優れた改善を示したという。
また、国内外の臨床試験の併合解析(第2相および第3相試験)においては、オルミエントが投与された総症例3,439例中、同剤との因果関係が否定されなかった有害事象は、1,428例(41.5%)に認められた。主な事象としては、上気道感染、帯状疱疹等で、主な臨床検査値異常はLDLコレステロール上昇等だったという。
関節リウマチは、関節の炎症および進行性損傷を特徴とした自己免疫疾患。日本での患者数は、70~80万人と推定され、男性よりも女性の方が約3倍多くみられる。近年、現在の標準療法である従来型抗リウマチ薬や生物学的製剤の登場により、「寛解」や「低疾患活動性」を目指し、関節破壊の抑制を介して長期予後を改善することができる時代となった。しかし、痛みや倦怠感、朝のこわばりといった主観的症状の改善など、全人的なケアを向上する新たな治療法に対して、依然重要なニーズが存在している。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース