オピオイドやNSAIDsなどの鎮痛薬とは異なる作用機序
米ファイザーと米イーライリリー・アンド・カンパニーは6月13日、変形性関節症(OA)および慢性腰痛症(CLBP)患者に対する慢性疼痛の治療薬として、「tanezumab」が米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック指定を取得したと発表した。ファイザーとリリーは、2013年に、同剤の全世界での共同開発および共同販売に関する契約を締結している。
Tanezumabは、神経成長因子(NGF)を選択的に標的として結合し、阻害することで作用する開発中のヒト化モノクローナル抗体。体内のNGF濃度は、外傷や炎症、慢性疼痛の状態にあることが原因で上昇する。同剤は、NGFを阻害することで、筋肉、皮膚、臓器で発生する疼痛シグナルが、脊髄・脳に到達しないように作用すると考えられている。オピオイドや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などのその他の鎮痛薬とは異なる作用機序を有している。
OA、CLBP、がん疼痛の患者を対象にP3試験を実施中
現在実施中の国際共同第3相試験は、既存の治療薬では十分な疼痛緩和が得られなかったOA、CLBP、またはがん疼痛の患者約7,000名対象とした6つの試験で構成されている。結果は2018年に順次報告される予定。全ての試験が、医療従事者による8週間に1回の同剤皮下投与を評価しており、治療期間は16~56週間。その後、24週間の安全性追跡調査期間を設けている。
ファストトラック指定は、重篤な疾患を治療し、アンメットメディカルニーズを満たす新薬の開発を促進し、審査を迅速化する制度。Tanezumabは、ファストトラック指定を取得した初めてのNGF阻害薬となる。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース