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アレルギー抑制に関わるグルココルチコイド受容体の分子機構を細胞内で解明-北大

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2017年07月03日 PM02:10

アレルギー性疾患の抑制に重要な役割をもつタンパク質

北海道大学は6月29日、アレルギー性疾患の抑制に重要な役割をもつグルココルチコイド受容体(GR)の細胞内部での二量体形成などの分子動態を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院先端生命科学研究院の細胞機能科学分野のManisha Tiwari博士、大浅翔博士研究員、金城政孝教授を中心とした研究チームによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に6月28日付けで掲載されている。


画像はリリースより

GRはアレルギー性疾患の抑制に重要な役割をもつタンパク質。GRに結合するリガンドは、炎症作用を抑えるために臨床治療において幅広く用いられている。GRの二量体形成は、GRがゲノムDNAに結合して機能するために必須であると考えられている。これまでの研究では、溶液内のGRを用いてGRの分子機構を明らかにしてきたが、GRが機能する場である細胞内部においては明らかにされていなかった。

細胞内部環境、GRの二量体形成を抑制する方向に働く

研究グループは、緑色蛍光タンパク質(GFP)と赤色蛍光タンパク質(RFP)の2つをそれぞれ融合したGR(GFP-GR、RFP-GR)をヒト骨肉腫細胞(U2OS)に発現させ、蛍光相互相関分光法を用いて、細胞内部でのGRの二量体形成と、GRが相互作用するパートナータンパク質との複合体形成を測定した。

その結果、GRがゲノムDNA上でなくても二量体を形成し、さらに細胞質内においてもGRは二量体を形成することを明らかになった。さらに、in vitroの単一細胞測定システムの実験では、GRの結合解離定数が細胞内部での結合解離定数と比較して10分の1程度に減少した。このことは、細胞内部においてGRが二量体を形成しにくくなっていることを示唆するものであり、細胞内部の環境がGRの二量体形成を抑制する方向に働くことも明らかにしたという。

今回された測定法は、蛍光分子を融合すれば標的とするタンパク質すべてに応用可能で、細胞内部で簡便に測定し細胞内部での結合解離定数を決定することが可能となる。また、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患を抑制する新規の薬剤探索などの研究に応用もできる、と研究グループは述べている。

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