■20年度開始、来年3月に確定
薬学教育評価機構は、2020年度から開始する第2期の薬学教育第三者評価に向け、評価基準の改定案をまとめた。卒業認定や入学者の受け入れに関する方針など三つの方針に基づき、自己点検と評価を実行する大学内部の質保証と学修成果の評価を重視しているのがポイントで、基準項目をスリム化すると共に、第1期で指摘が多かった点を重点的に評価する内容に見直す。改定案は、関係者からの意見募集を踏まえ、来年3月に確定する。
第1期の第三者評価では、薬剤師国家試験対策が卒業試験を圧迫していることや自己点検が十分に機能していないこと、学修成果の総合的な評価が不十分であることなどへの指摘が多かった。
そのため、第2期の第三者評価では、基準項目に「教育研究上の目的と三つの方針」を位置づけ、▽卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)▽教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)▽入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)の三つの方針の設定を明記した。
三つの方針を一貫性、整合性あるものとして策定し、それに基づき、自己点検・評価を実施する内部の質保証を確立する考え方を打ち出した。合わせて評価基準をスリム化し、指摘の多い基準項目を重点的に評価するとした。
改定評価基準では、新たに「教育の質保証」の項目も策定した。三つの方針に基づいた教育の質保証を行うための自己点検・評価が適切に行われていること、自己点検・評価結果などに基づき教育研究活動の改善が適切に行われていることを基準に位置づけ、教育研究上の目的に沿った形でPDCAサイクルによる内部の質保証を促す内容となっている。
「薬学教育カリキュラム」の項目については、カリキュラム編成や医療人教育の基本的内容など、6年制のスタートにより、ほぼ十分な教育が行われていると判断し、項目をスリム化。その上で、特に「学修成果の評価」の基準を重視し、改定評価基準の大きなポイントと位置づけている。学修成果の評価が教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいて適切に行われていること(資質・能力)の項目を新たに明記し、学生が身につけるべき資質・能力が学修段階に応じて評価され、適宜フィードバックされている観点を重視した。
卒業認定に関する項目も見直し、卒業認定が卒業の認定に関する方針に基づいて適切に行われていることの項目を盛り込んだ。卒業認定の判定基準が卒業認定の判定基準に関する方針に基づいて適切に設定され、学生に周知していること、卒業認定が判定基準に従って卒業見込者が当該年度の薬剤師国試を受験できる適切な時期に公正かつ厳格に行われていることを重視して評価する。
「学生の受け入れ」に関しては、基準の一つである「入学志願者の適性および資質・能力が入学者の受け入れに関する方針に基づいて適切に評価されていること」について、新たに評価の観点として、学生の受け入れの適切性が必要に応じて検証され、その結果に基づいて改善・向上が図られている点を盛り込んだ。
学修成果の評価については、卒業のための単位を取得できているだけでなく、薬剤師として必要な資質を備えているかという観点を重視している。
薬学教育の第三者評価は、同機構が定めた評価基準への適合認定を行うため、各薬科大学、薬学部が提出した自己評価への評価を行うことで、6年制教育の質を社会に示し、国民の理解を得ることが目的。13年度から開始され、評価対象の計74校について7年間を1サイクルとして19年度に評価を終えることから、20年度からの第2期の改定評価基準の検討が進められてきた。