厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会は23日、高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)対策に向けて、薬剤師などが参照できる包括的な医薬品の適正使用ガイドラインを作成すべきとの考えを示した。指針策定に当たっては、認知症や循環器、糖尿病など、特に検討が必要な薬剤の領域を明確にすることや患者が置かれた医療現場に応じた対策を整理することなどに留意する必要があるとした。一方、残薬対策はガイドラインの主な目的としないこととした。
同検討会は、高齢者の薬物療法について、服用する薬剤の種類は60歳前後を境に増加することや、ポリファーマシーの患者は多施設で受診する傾向にあること、薬剤種類の増加で関連有害事象の頻度が高くなる傾向にあるなどの現状認識を提示。
これらを踏まえ、高齢者の薬物動態を考慮した投与量の調整、薬物相互作用による多剤服用時の副作用発生の問題を防止するため、薬剤師、医師などの医療関係者が参照できる医薬品の適正使用情報を充実すべきと指摘。関連学会と協力し、関連領域ごとの診療ガイドラインを含めた国レベルの包括的な薬剤適正使用ガイドラインを作成することを提案した。
ガイドラインの作成に当たっては、糖尿病、循環器(高血圧、血栓)、認知症、催眠鎮静など特に検討が必要な薬剤の領域を考慮することや複数医療機関・薬局での薬剤調整、各医療現場に適した薬剤数調整など、患者が置かれた医療現場に応じた対策を整理する必要があると指摘。セルフメディケーションや栄養補助食品なども含めた安全対策にも留意すべきとした。ただ、処方日数制限に関する議論など残薬対策についてはガイドラインの主な目的としないこととした。
厚労省は、同検討会の考え方を踏まえ、ガイドライン作成に必要なデータ収集の範囲の設定やガイドラインの内容について集中的案議論が必要として、検討会のもとにワーキンググループを設置する方針を提示。7月の次回会合で、ワーキンググループを設置するかどうか検討する予定。