厚生労働省は、鎮痛や咳止めに使用される成分の「コデイン」を含有する医薬品について、12歳未満の小児への処方を段階的に制限する方針を決めた。2018年度末までは、経過措置期間として小児への使用を避ける注意喚起を行い、19年度からは全コデイン含有製剤を対象に投与を禁忌とする。7月上旬をメドに、製造販売業者に添付文書の改訂を指示する通知を都道府県に発出する予定。
22日の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会に対応案を示し、了承されたもの。コデイン含有製剤をめぐって欧州や米国では、呼吸抑制の副作用が発現する可能性から、12歳未満の小児への使用を禁忌としているのに対し、日本では「慎重投与」にとどめており、小児への処方を禁じていない。
国内ではコデイン含有製剤の使用による呼吸抑制の発生が報告されているが、欧米に比べて小児における呼吸抑制の発生リスクは低く、死亡症例も報告されていない。こうした状況を踏まえ、厚労省は、直ちに処方制限する必要性はないものの、呼吸抑制による重大な転帰に陥るリスクを低減するため、十分な注意喚起を行う必要があると判断。製造販売業者の負担などを考慮し、コデイン含有製剤が12歳未満の小児に使われないよう段階的に処方制限することを決めた。
処方制限に向けては、18年度末までを経過措置期間とし、医療用医薬品の添付文書の「重要な基本的注意」の項を改訂し、12歳未満に投与しないよう注意喚起していくと共に、一部変更承認申請や12歳未満の小児製剤の販売を取りやめるなどの対応を進める。OTC薬の添付文書では、小児用量のある製剤について、12歳未満の小児には医師の診療を優先する旨を記載することとした。
その上で、19年度からは全てのコデイン含有製剤について添付文書の使用上の注意を改訂し、医療用医薬品では小児を禁忌とし、OTC薬では小児に使用しない旨を記載し、処方を制限する。
コデイン含有製剤は、国内では医療用医薬品が65品目、OTC薬は約600品目が流通している。厚労省は7月上旬をメドに一部承認変更申請および添付文書の改訂に関する通知を都道府県に発出し、製造販売企業に周知する方針だ。