日本全国約10万人の妊婦に「エコチル調査」を実施
東北大学は6月21日、日本全国の約10万人の妊婦を対象とした薬の使用実態調査の結果を発表した。この調査は、同大大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センターの小原拓准教授(薬学)と西郡秀和准教授(産科学)らのグループによる行われたもの。研究成果は、「Pharmacy誌」(電子版)に掲載された。
画像はリリースより
日本国内において、妊娠中の医薬品・サプリメント使用の実態およびその安全性に関する評価基盤は存在していなかった。そのため、海外のエビデンスやデータに頼らざるを得ない状況だったという。
今回、研究グループは、環境省の「環境と子どもの健康に関する全国調査」(エコチル調査)に参加した9万7,464人の妊婦における妊娠前・妊娠中の医薬品・サプリメント使用の実態を調査した。このエコチル調査は、国立環境研究所をコアセンターとし、国立成育医療研究センターをメディカルサポートセンターとして、大学など全国15か所のユニットセンターとの協働により、環境省が実施しているもの。2011年から開始され、2011~2013年にかけて約10万人の妊婦をリクルートし、出生児が13歳になるまで追跡が行われる。
妊娠前1年間、「市販の解熱・鎮痛・感冒薬」が最も多く
その結果、医薬品・サプリメントを使用した妊婦の割合は、妊娠前1年間では78.4%、妊娠判明後から妊娠12週までの間では57.1%、妊娠12週以降では68.8%だった。
使用された医薬品・サプリメントの種類は、妊娠前1年間では、「市販されている解熱・鎮痛・感冒薬」の使用が最も多く、次いで「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」、「全ての抗菌薬」の順に多いという結果だった。また、妊娠判明後から妊娠12週までの間では、「葉酸サプリメント」、「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」、「漢方薬」の順に多かった。さらに妊娠12週以降では、「葉酸サプリメント」、「子宮弛緩薬」、「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」の順で多かった。
今回の研究によって、多くの妊婦が妊娠中に医薬品・サプリメントを使用していることが明らかとなった。今後、妊娠中の医薬品・サプリメント使用の安全性の評価が行われることが期待される。
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