診断後の平均余命3~5年と言われるTTR-CM
米ファイザー社は6月6日、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(TTR-CM)の治療薬として臨床試験実施中の「タファミジス」(製品名:ビンダケル(R))が、米国食品医薬品局(FDA)による迅速審査指定を受けたと発表した。
TTR-CMは、TTRアミロイドーシスによって起こる広い疾患スペクトラムの病態で、トランスサイレチンと呼ばれる4つのサブユニットからなる(四量体)輸送タンパク質の不安定化が原因。TTR-CMでは、不安定な四量体が解離し、ミスフォールディングが起きることでタンパク質が凝集、アミロイド線維を形成し心臓内に沈着した結果、心不全が起こる。TTR-CM患者の診断後の平均余命は3~5年と言われており、現在、世界で約1,000人の患者がTTR-CMと診断されているが、実際には見逃されるケースが多いと考えられている。
TTR-CMでは初の第3相プラセボ対照二重盲検比較試験が進行中
タファジミスは、早期の症候性ポリニューロパチーを呈するトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)患者における末梢神経障害の進行を抑制する治療薬として、2011年にEUで初めて承認を取得した、TTRを特異的に安定化させる薬剤。現在、タファジミスは、EU、日本、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、イスラエル、ロシア、韓国を含む世界40か国で承認されている。日本では、「TTR-FAPの末梢神経障害の進行抑制」の効能・効果で、2013年9月に製造販売承認を取得し、同年11月に発売した。
現在、TTR-CMを対象に進行中のATTR-ACT試験は、同疾患では初めての第3相プラセボ対照二重盲検比較試験。遺伝性の変異型トランスサイレチン型家族性心アミロイドーシス(TTR-FAC)患者と、非遺伝性の加齢によって発現する野生型TTR-CM患者を対象とした試験で、2018年前半に終了する予定。現在、タファミジスの死亡および心血管事象による入院のリスク減少に寄与する可能性を評価しているという。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース