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滲出型加齢黄斑変性の病態の一部を生体組織チップ上で再現-東北大

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2017年06月20日 PM01:45

日本において喫緊の課題である視機能障害対策

東北大学は6月13日、失明に繋がる網膜疾患の病態の一部をチップ上で再現することに成功したと発表した。この研究は、同大大学院工学研究科の梶弘和准教授らが、同医学系研究科の阿部俊明教授らと共同で行ったもの。研究成果は、「Scientific Reports」の電子版に掲載されている。


画像はリリースより

網膜疾患は高齢者に多く、超高齢社会を迎えた日本では視機能障害対策が喫緊の課題となっている。網膜疾患に対する医薬品候補化合物の評価には、疾患モデル動物が使われているが、ヒトと動物の種差があるため、得られる結果の信頼性が必ずしも高いわけではなく、コスト面、倫理面においても課題を有している。

近年、創薬を目的とした生体組織チップの開発が盛んに行われているが、肺や肝臓、腸などを対象としたものがほとんどで、眼を対象とした研究はほとんど行われていなかった。

滲出型加齢黄斑変性の主な病態、新生血管の発生を一部再現

研究グループは、まず網膜の一番外側の構造を模倣して、チップ上でヒト由来の網膜の細胞と血管の細胞を培養。細胞がある程度成長した後に、網膜の細胞を低血糖状態や低酸素状態にすると、血管の細胞が網膜の細胞側に移動し、網膜の細胞がダメージを受けることがわかったという。この過程は、滲出型加齢黄斑変性の主要な病態である新生血管の発生を一部再現したものであり、疾患モデル動物の代替として病態解析や創薬スクリーニングに応用できる可能性があるという。

今後は、血管内皮細胞の毛細血管網化や神経網膜の追加などにより、より生体機能に近い生体組織チップの開発が考えられる。また、患者iPS由来の成熟分化細胞で各細胞を置換することで、個々の患者に合せた治療法の開発や創薬スクリーニングへの発展も見込めるという。さらに、他の臓器を模倣した生体組織チップと接続することで、全身の薬物動態を検討できる可能性もある、と同研究グループは述べている。

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