新たな安全性シグナル示さず、有害事象発現率は対照群とおおむね類似
英アストラゼネカ社は6月12日、SGLT2阻害剤「Farxiga」(一般名:ダパグリフロジン、米国外での製品名:フォシーガ)の安全性プロファイルを示す新たなデータとして、臨床試験統合データ1の解析、ならびにCVD-REAL試験の3つの新たな心疾患アウトカム解析の結果を発表した。このデータは、米国糖尿病学会(ADA)の学術セッションにて発表された。
現在進行中のCVD-REAL試験は、ダパグリフロジンを含むSGLT2阻害剤の治療を評価する最初の大規模リアルワールドエビデンスであり、現状のデータセットおよび他の国々のデータを用いて、解析が実施されている。最新の安全性解析は、ダパグリフロジンの30件の第2b/3相臨床試験の統合データを用いたもの。新たな安全性シグナルは示さず、有害事象の発現率は対照群とおおむね類似していた。さらに、下肢切断については、ダパグリフロジン群および対照群それぞれ8例 (0.1%)、7例(0.2%)であり、ダパグリフロジン群と対照群の間で不均衡は認められなかったという。
早期導入効果を評価する3つの新データも
今回のADAでは、より幅広い2型糖尿病症例におけるSGLT2阻害剤の早期導入の効果を評価する3つの新データも発表。これらの解析は、実地臨床での患者集団が追加され、クラス全体の評価に加えダパグリフロジンに特異的な心血管評価項目での効果を評価したという。
2か国3万例を超える症例での解析では、DPP-4阻害薬との比較で、ダパグリフロジン投与例における腎臓病による入院率 (62%減少;p<0.001)、心不全(HF)による入院率(37%減少;p<0.001)および総死亡率(27%減少;p=0.003)について有意なリスク減少を示した。3か国約10万例の症例での解析では、他の2型糖尿病治療薬との比較で、SGLT2阻害剤の新規症例における心血管疾患による死亡率(47%減少;p<0.001)および心不全による入院率(30%減少;p<0.001)について有意なリスク減少を示したという。
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