がん全体では1%未満の希少がんである悪性胸膜中皮腫
独ベーリンガーインゲルハイムは6月5日、悪性胸膜中皮腫(MPM)を対象にした経口トリプルアンジオキナーゼ阻害剤「ニンテダニブ」のランダム化、二重盲検、プラセボ対照治験「LUME-Meso試験」の第2相試験のデータを発表した。このデータは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のオーラルアブストラクトセッション内で発表された。
MPMは、がん全体の中でも1%未満の胸部に発生する希少がん。アスベストの長期的な吸入と関係しているといわれている。MPM患者の予後は不良で、診断後の5年生存率は10%未満。上皮型・二相型・肉腫型の3つの組織型に分類され、上皮型が最も多く、MPMの50~70%を占める。
有意差はないものの、OSも中央値で4.1か月延長
今回は発表されたデータにおいて、標準的一次化学療法(ペメトレキセド+シスプラチン)にニンテダニブを追加投与した治験集団全体(組織型が上皮型または二相型の患者)では、プラセボを追加した標準化学療法のみの治療と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を中央値で3.7か月有意に改善し、疾患増悪のリスクを46%減少させた(ニンテダニブ9.4か月vsプラセボ5.7か月)。上皮型の患者では、化学療法へのニンテダニブの追加投与によるPFSの中央値へのベネフィットがより大きく4か月だった(ニンテダニブ9.7か月vsプラセボ5.7か月)。
副次評価項目の全生存期間(OS)の主解析では、有意な差がつかなかったものの、化学療法にニンテダニブを追加投与した患者のOSの中央値は4.1か月延長し、患者集団全体で肯定的な傾向が示された(ニンテダニブ18.3か月vsプラセボ14.2か月)。PFSの結果と同様に、上皮型に分類された患者での有効性が最も高く、OSの中央値は化学療法のみの治療の15.2か月に対して、20.6か月だった。
なお、ニンテダニブは、現在、LUME-Meso試験の第3相臨床試験(NCT01907100)が実施されている。