独自の化学構造を有する非定型抗精神病薬
大日本住友製薬株式会社は6月9日、非定型抗精神病薬「ルラシドン塩酸塩」(一般名)の双極1型障害うつに対するフェーズ3試験で、ルラシドン20~60mg/日投与群が、主要評価項目を達成したという解析結果の速報を発表した。主要評価項目の投与6週間後のMADRS(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale)合計スコアのベースラインからの変化量で、プラセボ投与群に対し、統計学的に有意な改善を示したという。
ルラシドンは、同社が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬。ドパミンD2、セロトニン5-HT2A、セロトニン5-HT7受容体に親和性を示し、アンタゴニストとして作用。セロトニン5-HT1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用する。また、ヒスタミンH1およびムスカリンM1受容体に対してはほとんど親和性を示さない。
2019年度に日本での製造販売承認申請を実施予定
今回の試験は、双極1型障害うつの患者525名を対象とした多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較試験。ルラシドン20~60mg/日投与群(184名)、ルラシドン80~120mg/日投与群(169名)、プラセボ投与群(172名)に分け、ルラシドンを6週間、漸増漸減投与したときの有効性および安全性を検討した。
その結果、投与6週間後のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量で、主要な解析対象集団(ITT:Intention-to-Treat)522例では、ルラシドン20~60mg/日投与群はプラセボ投与群に対し、統計学的に有意な改善(ルラシドン20~60mg/日投与群:-13.6、プラセボ投与群:-10.6(調整済みP値:0.007))を示した。ルラシドン80~120mg/日投与群(-12.6)は、プラセボ投与群に対し改善を示したが、統計学的に有意ではなかったという(調整済みP値:0.057)。
同社は、日本での統合失調症および双極性障害メンテナンスに対する承認取得を目指しフェーズ3試験を実施中。今回の試験結果と、各フェーズ3試験の結果に基づき、2019年度に日本でのルラシドンの製造販売承認申請を行う予定。
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・大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース