選択的オピオイド受容体調節薬
大塚製薬株式会社とデンマーク・H.ルンドベックA/S社は6月8日、「ナルメフェン(一般名)」のアルコール依存症患者を対象とした国内フェーズ3試験(検証試験と長期投与試験)の結果速報で、主要評価項目と副次的評価項目を達成したと発表した。試験結果の詳細は、年内に実施される学会で発表される予定。
ナルメフェンは、大塚製薬とルンドベック社が共同で開発を進めている、選択的オピオイド受容体調節薬。飲酒のおそれがあるときに服用することで、中枢神経系に存在するオピオイド受容体調節作用を介し、飲酒欲求を抑制する。
オピオイド受容体は、脳内報酬系や情動制御、痛みのコントロールなどを司り、μ、κ、δの3つのサブタイプが知られている。同剤は、μオピオイド受容体・δオピオイド受容体に対しては拮抗薬として、κオピオイド受容体に対しては部分的作動薬として作用し、飲酒欲求を抑制すると考えられている。欧州では、アルコール依存症で、健康リスクが高いとされる飲酒量(High RiskおよびVery High Risk:成人男性では1日60g超、女性では1日40g超のアルコール摂取)を低減させるという適応ですでに販売されている。
副次的評価項目の総飲酒量も、有意な低下が認められる
その結果、主要評価項目である多量飲酒した日数のベースラインから12週時の変化量において、ナルメフェン10mg投与群、20mg投与群ともにプラセボに比べ有意差が認められた(P<0.0001)。また治療期の24週時までこの効果は維持されていることがわかった。副次的評価項目である総飲酒量でも、両投与群ともに有意な低下が認められている(P<0.0001)。
同長期投与試験は、検証試験の終了後に継続に同意が得られた患者約400名を対象としたナルメフェン20mg/日の長期の安全性と有効性を検討したもの。ナルメフェン20mg/日を24週間投与し、その後にさらにナルメフェン20mg/日群とプラセボ群に分けて4週間投与した。この長期投与試験でも、多量飲酒した日数、総飲酒量ともに試験終了時まで減少が維持されたことが判明。発現した有害事象は、悪心、浮動性めまい、傾眠などであり、多くが軽度または中等度で、長期投与により発現率あるいは重症度が高くなるものはなかったという。また、同剤による依存性や離脱症状は認められていない。
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・大塚製薬株式会社 ニュースリリース