■今夏メドに省令改正
中間とりまとめは、これまで、あいまいだった医薬品の取り引きに関するルールを明確にすることで、ルールから逸脱した医薬品卸や薬局に対し、適切な指導を行えるようにするもの。
ハーボニーの偽造品が流通した事案では、法令上、定められている、氏名や品名、数量は記録されていたものの、偽造品を持ち込んだ人の氏名は偽名だったことから、取り引き相手の適格性の確認や譲受記録の徹底を求めた。
具体的には、取り引き相手の氏名、品名、数量、年月日といった従来の項目に加え、相手の住所やロット番号、使用期限を新たに書面に記載し、保存することとし、医薬品の譲渡人、授受人の身元確認をどのような手段で行ったかについても記録に残すよう求めている。
今回の事案では、医薬品が開封済みのボトル単位で流通したことを踏まえ、医薬品卸や薬局において、医薬品の封を開けた者の氏名や住所等を新たに表示することとした。また、品質に疑念のある医薬品を発見した場合の対応を業務手順書に明記することも求めた。
医薬品を保管する区域への立ち入りも制限する。医薬品は明確に識別された状態で隔離された区域に保管し、医薬品の保管区域への立ち入りは、権限を与えられた職員のみに限定することとした。
医薬品が転売されるルートを遮断するため、患者に販売包装単位で調剤を行う場合の規定も設けた。販売・授与された薬剤が再度流通することがないよう、「外見から調剤済みと分かるような措置を検討し、それを徹底する」ことも求めた。
破棄する医薬品の記録を徹底することや、管理薬剤師の責務として、偽造品対策の各種対応(仕入先・販売先の確認、返品された医薬品の最終処分の判断)を位置づけることも明確化した。
中間とりまとめでは、「今後さらに対応を要する事項」として、PIC/S・GDPガイドラインの全般に対応する国内ルールの検討や、薬局開設者や管理薬剤師の責任や責務等のあり方などが盛り込まれた。
あいさつした医薬・生活衛生局の武田俊彦局長は、「ルールを確立することにより、適正な取り引きと不適正な取り引きを仕分けし、不適正な取り引きを根絶する」と強調。中間とりまとめについて「具体的な対策の鍵となる部分」との認識を示し、「制度的対応を図り、都道府県と連携しながら薬事監視の強化に努めていきたい」と語った。