PD-L1の発現にかかわらず35%のORR示す
米国のIncyte CorporationとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は6月3日、Incyte社の選択的IDO1酵素阻害剤「epacadostat」と、抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法を検討する第1/2相臨床試験、ECHO-202の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者コホートで得られた最新データを発表した。epacadostatとキイトルーダの併用療法は、PD-L1の発現にかかわらず進行性扁平上皮および非扁平上皮のNSCLC患者で35%(n=14/40)の奏効率を示したという。この結果は、2017年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会でポスター発表されている。
ECHO-202試験では、epacadostatをキイトルーダと併用投与したときの安全性および有効性を評価。対象者として、抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体による治療歴のある患者を除外している。同試験の第1相用量漸増パート(epacadostat 25、50、100mgを1日2回+キイトルーダ2mg/kgを3週間ごとに1回静脈内投与およびepacadostat 300mgを1日2回+キイトルーダ200mgを3週間ごとに1回静脈内投与)および第1相用量拡大パート(epacadostat 50、100および300mgを1日2回+キイトルーダ200mgを3週間ごとに1回静脈内投与)への登録は終了している。
切除不能または転移性悪性黒色腫治療のP3試験も進行中
epacadostatとキイトルーダの併用療法を受けたすべての進行NSCLC患者で、奏効率は35%(n=14/40)だった。そのうち2例(5%)が完全奏効)、12例(30%)が部分奏効を達成。病勢コントロール率は63%(n=25/40)であり、データカットオフ時点で奏効患者の71%(n=10/14)で奏効を持続していた(奏効期間:8.9~76.6週以上)。奏効はPD-L1高発現(腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合が50%以上:TPS≧50%)の患者のほか、PD-L1低発現(TPS<50%)の患者でも認められた。奏効が認められた患者は、いずれも進行NSCLCに対する前治療が0~2ラインの患者だったという。また、キイトルーダに加えてepacadostat 100 mg以上 1日2回を併用投与した患者では、奏効率は40%だった(n=14/35)。
安全性プロファイルは、これまでに報告された第1相臨床試験の結果と一致しており、他のがんコホートの第1/2相臨床試験の安全性の結果および同試験の併合した安全性プロファイルとも一致。併用療法の安全性プロファイルは、概ねキイトルーダ単独療法とも一致していたという。
切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療で、キイトルーダとepacadostatまたはプラセボとの併用療法を検討する無作為化二重盲検プラセボ対照第3相臨床試験ECHO-301(NCT02752074)も進行中だという。
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