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日本発・世界初の化合物「MA-5」にミトコンドリア病の病態改善効果-東北大

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2017年06月05日 PM01:15

ATP産生を活性化するメカニズムも解明

東北大学は6月1日、新たなATP産生活性化のメカニズムを解明し、ATP産生メカニズムを活性化する薬剤「Mitochonic acid 5」()にミトコンドリア病の患者由来細胞や病態モデルマウスで、病態を改善する効果があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科・大学院医工学研究科病態液性制御学分野の阿部高明教授ら研究グループによるもの。研究成果は、「EBioMedicine」に5月13日付けで掲載されている。


画像はリリースより

ミトコンドリアは、生命活動に必要なエネルギーのATPの約95%を産生している。このミトコンドリアに異常があるミトコンドリア病患者では、ATP産生低下に伴う全身性の臓器障害が起こるが、現在ミトコンドリア病に対する確定的な治療薬は無い。

これまで研究グループは、腎臓病患者の血液中にATPや造血因子の産生促進作用があるインドール化合物を見出し、その誘導体のうち最もATP合成能をもつ化合物をMA-5と名付け報告。さらに、MA-5をミトコンドリア機能異常症マウスに投与すると、心臓や腎臓の機能異常が改善し、マウスの生存率が上昇することを明らかにした。しかし、MA-5がミトコンドリアにおいて、ATP産生を活性化するメカニズムについては不明のままだった。

2018年のヒトへの投与に向け、安全性の確認中

今回、研究グループは、MA-5がミトコンドリアの内部構造(クリステ)を維持するために重要なタンパク質のミトフィリンに結合し、ATPを合成する酵素の複合体の形成を促進することでATP産生の効率を高めているという、新しいATP合成のメカニズムを世界で初めて明らかにした。また、さまざまなミトコンドリア病患者の皮膚から培養した線維芽細胞を用いて、MA-5の細胞保護効果を調べた結果、25症例中24症例(96.6%)という高い割合で、その細胞保護効果が認められたという。

ミトコンドリア機能異常は、ミトコンドリア病だけでなく神経変性疾患や心臓病、腎臓病、糖尿病等の疾患の原因となることが明らかとなっている。そのため、MA-5はミトコンドリア病だけでなく、これらの疾患の治療にも貢献する薬剤となる可能性がある。MA-5は、既に国内外の特許申請を完了している日本発・世界初の化合物。現在、AMED難治性疾患実用化研究事業の支援を受け、2018年のヒトへの投与に向け安全性の確認を行なっている。

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