「通説」だった全身持久力の高さと2型糖尿病の予防の関連性
東北大学は5月31日、勤労者男性を対象とした追跡調査を行い、一時的に高い全身持久力よりも継続的に全身持久力が高いほうが、その後の2型糖尿病発症の低いリスクと関連することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医工学研究科の門間陽樹助教と永富良一教授(兼大学院医学系研究科)らの研究グループによるもの。この研究成果は、「Medicine & Science in Sports & Exercise」(電子版)に掲載されている。
画像はリリースより
2型糖尿病の予防のために、ランニング等によって向上する全身持久力を高く保つことが有効であるといわれている。しかし、これはある一時点の全身持久力が、その後の2型糖尿病発症リスクと関連するという研究結果のみに基づいており、全身持久力を高く保つことが2型糖尿病の予防に実際に有効であるかは検討されておらず、いわば「通説」だった。
一時的な全身持久力の高さは発症リスクに影響を与えず
今回の研究では、追跡開始前に全身持久力を複数回測定した男性7,158人を最大23年間追跡。追跡調査が開始される前の8年間で4回以上全身持久力を測定した男性について、全身持久力の曲線下面積をそれぞれ算出。面積の大きさに基づいて対象者を4群に分け、2型糖尿病を発症した人数を比較した。曲線下面積は、その面積が大きいほど、継続的に全身持久力が高いことを示している。
その結果、面積が最も大きかった群で発症リスクが最も低い値を示したという。一方、全身持久力が一時的に高いことを示す指標に基づいて4群に分けた結果、4群間で2型糖尿病の発症リスクに違いは認められなかった。これにより、一時的に全身持久力が高いことは、2型糖尿病の発症リスクに影響を与えないが、継続的に全身持久力が高いほうが、継続的に低い群よりも2型糖病の発症リスクが低いことが判明したという。
今回の研究は、「全身持久力を高く保つことは2型糖尿病の予防に有効だ」という通説に対して、直接支持するデータを世界で初めて示した報告である、と研究グループは述べている。
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