■処方提案増に効果大きく
厚生労働省は、医療従事者の負担を軽減するためのチーム医療の実施状況に関する2016年度診療報酬改定の調査結果をまとめ、5月31日の中央社会保険医療協議会総会に報告した。昨年4月以降、新たに薬剤師を配置した病棟のうち、手術室や集中治療室(ICU)への配置が42.5%と約4割を占めることが分かった。新設された「病棟薬剤業務実施加算2」の届け出施設は、同加算1を届け出た施設の35.0%となり、これら施設の9割以上で処方提案件数の増加などの効果が得られたことが明らかになった。
病院調査の結果では、病棟薬剤業務実施加算1の施設基準を届け出ている施設は全体の31.6%、同加算2は9.5%となった。勤務医の負担軽減を要件とする診療報酬項目で、病棟加算の算定が効果ありとの回答は44.3%と前回調査に比べて増え、「どちらかといえば効果がある」を含めると、効果ありとの回答は88.6%に上った。薬剤師の病棟業務が医師の負担を軽減していることが一層裏づけられた格好だ。
内科、外科、救急科等、各診療科の医師に調査した結果、診療科で負担軽減策として行っている取り組みは、薬剤師による投薬に関する入院患者への説明が53.0%と最も多かったが、ICUなど集中治療室への薬剤師の配置も10.2%の診療科で行われており、ICUなどへの薬剤師配置は「どちらかといえば効果がある」を含め、約8割の医師が効果ありと評価していることが分かった。
病棟における薬剤師の配置状況は63.3%。特に薬剤師が関与している割合が高かったのは、「退院時の薬剤情報管理指導」で74.8%となった。病棟配置による医師の負担軽減効果については、8割を超える医師が全ての取り組みに効果ありと評価していた。
一方、薬剤部長等の責任者を対象に、薬剤師の病棟業務を調べた結果、昨年4月以降、新たに薬剤師を配置した病棟の割合は11.1%、そのうち新設されたICUなどへの配置は42.5%だった。薬剤師の配置後には、処方提案の件数増の効果が9割以上の施設で見られた。
病棟加算1を届け出ている施設は33.4%、そのうち病棟加算2の届け出施設は35.0%となり、薬剤師の配置は特定集中治療室管理料を算定する治療室が81.0%と最も多かった。
さらに、病棟薬剤師を対象にした調査で、病棟加算を算定できない患者が入院しているにもかかわらず、病棟薬剤業務を実施している病棟の入院料の割合を見ると、地域包括ケア病棟入院料が33.3%、回復期リハビリテーション病棟入院料が23.8%と、回復期と慢性期の病棟が約6割を占めた。病棟加算を算定できないにもかかわらず、病棟薬剤業務を実施している理由を尋ねると、算定患者と同様に薬学的管理が必要との回答が68.3%と最も多く、次期改定の課題となりそうだ。