2型糖尿病や代謝性疾患の発症・進展の原因となるインスリン抵抗性
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は5月30日、神戸大学とインスリン抵抗性に起因する2型糖尿病・関連疾患の新規治療薬の開発を目的とした共同研究契約を締結したことを発表した。
インスリン抵抗性は、肥満、ストレス、加齢といった環境因子によって糖代謝に重要なインスリンが効きにくくなる状態のこと。2型糖尿病やその他の代謝性疾患の発症・進展の原因となると考えられている。2型糖尿病は、心血管疾患、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害等の、大血管・細小血管障害による重篤な合併症を引き起こすことが報告されている。
また、インスリン抵抗性に関連する疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、最終的に肝硬変や肝がんを引き起こすこともある深刻な疾患として知られている。
アカデミア発の創薬を活性化する部門を2015年に設立したNBI
神戸大学医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門の小川渉教授は、これまでにインスリンの作用機序と糖尿病に関する研究を進めている。共同研究では、小川教授が積み上げた知識や技術と、ベーリンガーが有する創薬研究の経験を活かして、治療の選択肢を拡げるための画期的な新規治療薬の開発を目指すという。
ベーリンガーは、アカデミア発創薬を活性化するための新たな研究部門として、2015年にResearch Beyond Borders(RBB)を探索研究組織内に設立。共同研究は、日本のRBB部門と、神戸大の学術・産業イノベーション創造本部が協同して仲介し成立した。同社は2017年1月、NBI神戸医薬研究所内に「創薬研究アライアンス部」を設立し、研究機関やバイオテク企業等とのパートナーシップ構築を目指している。
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・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース