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クローン病、患者の65%が治療効果の長期的な持続に不安-ヤンセン

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2017年06月01日 PM03:00

患者は治療の長期的な効果を重視

ヤンセンファーマ株式会社は、2017年3月の「(R)皮下注45mgシリンジ」(一般名:)の中等症から重症の活動期クローン病に対する適応追加と、5月24日にクローン病治療薬「(R)点滴静注130mg」を発売したことを受け、同月29日にメディアセミナーを開催。同社が実施したクローン病患者を対象とした調査結果を発表した。


東邦大学医療センター佐倉病院
消化器内科 鈴木康夫教授

調査は国内のクローン病患者143例を対象に郵送およびインターネットで実施。現在の疾患活動状態について、症状ありと答えた患者は51例で、その70%以上が現在の治療計画に満足していないと回答した。症状のない80例は70%が現在の治療に満足していたが、治療計画について心配していることとして、症状のある例の60%弱、症状のない例の60%超が、「現在受けている治療がこの先も効果を示すかどうか」を挙げた。また、治療計画における重要な要素では、「長期的に効果が出ること」が最多で65%と、次点の「副作用が最小限であること」(26.6%)を大きく引き離した。

同セミナーで登壇した東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科の鈴木康夫教授は、症状のある患者の治療満足度が低いことに対し、「クローン病の症状があるということがどんなに辛いかが、この結果に表れている。医師は現在の治療法で症状が治まらない患者に対しては、新たな治療計画を考えなければならない」と述べた。また、症状の有無にかかわらず、将来的に治療効果が維持されるかどうかの懸念が多かったことや、治療の長期的な効果が重要視されている結果には、「寛解導入はもちろん、寛解維持が非常に大事。一時的に状態がよくなっても、再発することを患者は身に染みてわかっている。長期的によい状態を維持できる治療が求められていることを示す結果だ」と解説した。

若年・腹痛・肛門病変ならクローン病も考慮

さらに、クローン病と診断された年齢別にみると、20歳未満で診断された患者の8割強が「クローン病について気まずい思いをしている」と回答。クローン病の症状により、やりたくてもできないこととして、「外食」「旅行」を挙げる声が多く、20歳未満で診断された患者では、「社交イベントへの参加」「スポーツ活動への参加」「就学/就業」も多く挙げられた。この結果について鈴木氏は、「10~20代はナイーブな時期。下痢や肛門病変など、クローン病の症状は口にするのがためらわれがち。そのため周囲の理解が得られない患者も多いのでは」との見解を示した。

日本におけるクローン病患者はおよそ4万人。診断される年齢は15~35歳と若年層に多い。直腸からの出血や頻繁な下痢、腹痛や腹部圧痛、体重の減少、発熱などの慢性症状を伴う。現時点で完治可能な治療法は存在しないが、「2002年の生物学的製剤の登場でクローン病治療は大きく変わった。今では、早期診断、早期治療開始で腸管の状態を悪化させないことが治療において重要になっている」(鈴木氏)という。しかし、症状を自覚して最初に医療機関を受診してからクローン病の診断がつくまでには、患者数の多い欧米でも5年を要し、早期診断の実現には課題もある。「若年で、腹痛を訴えており、痔瘻など肛門病変を有する患者に対しては、クローン病の可能性も考慮して血液検査をしてほしい。血液検査で炎症所見や貧血、栄養状態などをみれば、過敏性腸症候群などの他疾患を除外できる」(鈴木氏)

新しい作用機序を持つ生物学的製剤ステラーラについては、治療における位置づけはこれから議論されていくとしながらも、既存の生物学的製剤が無効な例や、効果が減弱した例、副作用が問題となり投与できない例に対して選択肢となる、と期待をのぞかせた。

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