IL-6Rに結合するヒトモノクローナル抗体
仏サノフィ社と米Regeneron社は5月22日、「sarilumab」が、メトトレキサート(MTX)などのDMARDs(抗リウマチ薬)を1剤以上用いた治療で十分な効果が得られないか、もしくは不耐の中等度から重度の活動性関節リウマチ(RA)の成人患者に対する治療薬として、FDAが承認したことを発表した。
RAは、慢性の炎症性自己免疫疾患の一種。免疫系が関節組織を攻撃することで炎症や痛みが現れ、関節の損傷や変形に至る。RA発症時の年齢は、30~60歳が中心だが、他の年齢層の成人にも発症することがある。
sarilumabは、インターロイキン6受容体(IL-6R)に結合するヒトモノクローナル抗体。IL-6Rを介するシグナル伝達を阻害することが明らかにされている。IL-6は体内に存在するサイトカインの一種で、IL-6が高濃度で長期間存在すると、RAに伴う炎症を引き起こすことがある。
P3試験ではDMARDsとの併用で有意な改善を示す
今回の承認は、先行治療で十分な効果が得られない、中等度から重度の活動性RAの成人患者約2,900例から得られたデータに基づくもの。2つのピボタル第3相臨床試験では、sarilumabとDMARDsとの併用で、中等度から重度の活動性RA患者に統計学的に有意で臨床的に意義のある改善が認められた。
MOBILITY試験では、sarilumab・MTXの併用例とプラセボ・MTXの併用例とを比較。症状・徴候の改善、身体機能の向上と、構造的損傷のX線所見の有意な進行阻止が認められた。また、TARGET試験では、sarilumab・DMARDの併用例は、プラセボとDMARDの併用例に比べ、症状・徴候が改善し、身体機能が向上する結果が出たという。
sarilumabは、2017年1月にカナダで承認された。同年4月、欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)は、中等度から重度の活動性関節リウマチの成人患者に対する治療薬として、同剤の承認を勧告する肯定的見解を示している。欧州委員会(EC)は、同剤のEUにおける医薬品販売承認申請(MAA)について、最終決定を今後数か月以内に行う見込み。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース